ちな監督×角野隼斗、「新しいことをやりたい」2人が初タッグ "音も楽しむ"新感覚アニメーション誕生
■これまでの人生で影響を受けたかけがえのない映画は?
――お2人とも28歳。 【角野】誕生日はいつですか? 【ちな】1996年2月23日です。 【角野】僕は1995年7月14日生まれなので、もうすぐ29歳になります。 【ちな】学年が一緒ってことですね。 【角野】活躍している人が同い年だと知ると、ちょっと刺激になりますね。ただ、年齢はあまり関係ないかな。一緒に仕事やコラボをする相手が何歳の方であっても、僕は僕で、全力で頑張るだけです。 【ちな】今回、短編ではありますが監督した作品が劇場で上映されて、一度その土俵に上がったら、年齢に関係なく出したものがすべてだと思っています。同時に、28歳になってそろそろ横並びから抜け出して、自分の表現で勝負していかないといけない、それができるくらい経験を積んできたと思えるようにもなってきたので、どんどん新しい挑戦をしていきたいと思っています。 ――今回の取り組みはご自身のキャリアにとって… 【ちな】やっぱり「ファーストライン」かな。 【角野】かっこいいですね。 【ちな】先に、使っちゃっていいですか(笑)。 【角野】近い意味合いにはなりますが、僕にとっての「ニュー・チャプター(新し い章)」。新しいスタートになりました。 ――ご自身にとってかけがえのない1本を教えてください。 【ちな】新海誠監督の『秒速5センチメートル』(2007年)です。中学生の頃にこの作品と出会い、こんなにも自分に寄り添ってくれる作品があるなんて、と思った作品です。それまでもアニメを楽しんできましたが、アニメでこんなことやっていいんだ、こんなことまで表現できるんだと、少年の内面の描き方に衝撃を受けました。今の自分につながった作品です。 【角野】僕は『戦場のピアニスト』(2002年)です。最初に観たのは中学生の頃。第二次世界大戦を生き抜いたユダヤ人ピアニストを描いた、実話をもとにした映画です。その当時のホロコーストの悲惨さが無残にリアルに描かれていく中で、ショパンの「バラード 第1番」を弾くシーンがあって。戦争という本当に悲惨な状況の中でも音楽がこれだけ潤すんだ、こんなにも絶望と希望が同時に表されることがあるんだ、という衝撃を受けたことを覚えています。それから何度も観ている大切な作品です。 ■『ファーストライン』 人気アニメシリーズ『平家物語』『薬屋のひとりごと』などで絵コンテ・演出を務め、「TOHO animation ミュージックフィルムズ」監督にも最年少で選出された、ちな監督(TOHO animation STUDIO所属)が紡ぐ、アニメーターを主人公にした物語。「アニメーション=生命を吹き込む事」の面白さと残酷さを、劇中劇として大胆に描いていく。音楽はピアニストでYouTube では“Cateen(かてぃん)”名義で活動する角野隼斗が担当し、フィルムスコアリングで作品の隅々まで音で物語を彩った。28歳、新進気鋭の2人による、"音も楽しむ"新感覚アニメーション。 ■映画『GEMNIBUS vol.1』 YouTubeで公開された『ゴジラVSガイガンレクス』が1000万回超え、続く『ゴジラVSメガロ』が470万回と驚異の再生数を記録して全世界からの注目を集めるCGクリエイター・上西琢也による、シネマティック・バージョン〉の映画『ゴジラVSメガロ』。全編スマホ内で完結する縦型ホラーという新領域で挑んだ映画『娯楽』で、「TikTok TOHO Film Festival 2022」にてサードアイ賞を受賞した平瀬遼太郎のサイコスリラー映画『knot』。ちな監督によるアニメーション映画『ファーストライン』、昨年の「第75回カンヌ国際映画祭」#TikTokShortFilm コンペティションでグランプリを受賞し、「TikTok TOHO Film Festival 2022」ではテクニカル賞を受賞した、縦型映画のパイオニアともいえる本木真武太のSF学園ゾンビ映画『フレイル』。ジャンルの垣根を超えた4作品からなるオムニバス映画。