横綱・白鵬、鶴竜への減給処分は本当に厳しいのか、大甘なのか?
加害者の日馬富士は、責任をとってすでに引退した。 錦糸町のバーでの貴ノ岩の言動を伝聞で聞いたことから説教を始めるというトラブルの発端をつくりながら、暴行が始まると、それを止めなかった白鵬も、ほぼ同罪とすれば、確かに“罰金”のような減給では、処分は甘いのかもしれない。 賞罰規定の次の段階にある1月場所の出場停止の処分が下されても良かっただろう。ただ、横綱に対して、そこまでの処分を下すとなると、事実上の“引退勧告”と同意語になってしまう。 当初、協会は「ここまでの処分に踏みこまないのではないか」という見込みがあったことも事実で、相撲ジャーナリストの荒井太郎氏は、処分の重い、軽いについて、こういう見方をしている。 「私は現場にいた白鵬と鶴竜が日馬富士の暴行行為を止めなかったことの責任を問うべきだと考えていたので、今回、協会が2人の横綱に下した処分は当然です。けん責で、済ませるのではないかと考えていたが、報酬減額の懲戒処分としました。けん責より若干重い処分。私は妥当な“量刑”だと感じました」 ガバナンス不在が問題視されてきた協会にしては自浄作用が少しは見えたという評価だ。 また自ら3か月分の給料の全額返上を申し出た八角理事長に対しても「辞任すべき」という声がネット上では圧倒的だ。角界の過去の汚点を教訓にできなかったガバナンスの不備は、組織のトップの責任だという理由がほとんど。 しかし、前述の荒井太郎氏は、「八角理事長も3か月分の給料の全額返上を申し出た。今回の暴行事件に対する対応の遅れや、結果的に再発防止の啓蒙が徹底されていなかったことに対する責任を取った形だが、協会のトップがそういう自覚を持って自らを罰したことは評価すべきでしょう。また八角理事長は『今後、横綱のような番付上位の力士が暴力をふるった場合は引退勧告が処分の基準になります。重たい前例となります』という指針を示したが、私も再発防止には厳しい罰則が必要だと考えていたので、この姿勢を明らかにしたことも前向きに受け止めていいことだと感じました」という意見だ。 八角理事長が、辞任すれば、事態を完全収束する前にさらなる混乱を呼ぶ可能性もあり、今後の再発防止運動も含めて、この時点での辞任が適当か、どうかについては議論が生まれるところだろう。 そして、貴乃花親方の処分問題という“爆弾”も28日の理事会へ先送りされた。相撲協会は、相撲ファンや世論が納得する“ゴール地点”を見つけることができるのだろうか。