元教員を“助っ人”に派遣 富山県上市町教委創設の「教職員人材バンク」事業開始
県内の他の自治体に先駆け、上市町教育委員会が2024年度に創設した「教職員人材バンク」に登録した教員免許を持つ支援員の派遣事業が11日、始まった。この日は、担任2人が不在の“緊急事態”に陥った白萩西部小学校にベテランの退職教員2人が助っ人として訪れた。学校は「本当に助かった」とし、派遣された支援員も久々の現場の活気に充実した表情を見せた。 11日の上市町議会総務教育委員会で町教委が制度の運用開始を報告した。 人材バンクでは、教員が研修で学校を離れたり、自身の子どもの急病で休まなければならなかったりするケースなどに支援員を派遣。退職教員ら教員免許を持つ20人が登録する。白萩西部小では11日、5、6年の担任2人が研修で学校を離れなければならず、町教委に派遣を要請した。 派遣されたのは一昨年定年退職した元小学校教諭の出口晶弘さん(61)と、現在は上市中で放課後学習支援員を務める元中学校教諭の土肥克雄さん(66)。2人は、担任が用意したプリント学習などに取り組む児童を指導したり、12日にある町の陸上記録会の練習を見守ったりした。
出口さんは5年生を担当。児童の元担任でもあり、和気あいあいと授業が進んだ。国語の時間には分からないことを児童が気軽に聞きに行き、出口さんがアドバイスした。2人はこの日、朝の会から帰りの会まで勤務し、給食も一緒に食べ、“臨時担任”を務めた。 青木道子校長は「この学校は、全校児童43人の小規模校で教員も少ない。教頭らで対応する教員のやりくりにも限界がある」と話す。2人は学校現場の負担軽減に向け「時間の都合が合えば、ぜひ協力したい」と話した。