「慣れと安定は幸せなこと」41歳・冨永愛が「若さが一番」という風潮を残念だと思う理由
この年にならないと感じられない幸せがある
ーー年齢を重ねてよかったことって、どんなことでしょうか。 冨永:年齢を重ねてみて、自分の表現が広がったなって思うことが多いですし、それを生かして表現をするという仕事を楽しんでいます。 ーー年齢を重ねて、自分が変わってしまったと思うよりは、前向きな変化として捉えていらっしゃるんですね。 冨永:そういうふうに考えるようにしています。年齢を重ねて、なんかちょっと肌が垂れてきたとか、皺が出てきたとか、そういうことに引っ張られたくないから、私はそれよりももっとハッピーに生きたいし、違うことにエネルギーを使いたい。次どう動こうかなとか、誰に会おうかなとか、常に先のことを考えていますね。 ーー年齢を重ねて生きやすくなったとか、楽になった部分はありますか。 冨永:何となく自分のことがわかってきたと感じています。自分の処方箋じゃないけど、こういうふうになったら、自分はこうなるんだなとか、こういうふうにしたら自分はこういうメンタルになれるとか、そういったことが何となくわかってきているから、楽になってきている部分はあると思います。 ーー今割と幸せだと思えるようになったそうですが、自覚されたのはいつぐらいでしょうか? 冨永:最近です。この41年間、生きてこないとわからない幸せ観がきっとあるんだと思うんですよね。振り返ってみて、あ、割と幸せじゃんっていうところに至るには、多分これぐらい生きてこないと感じなかったんだろうなというのは思います。
年齢を重ねたからこそ思い至れる部分もある
ーー「自分の人生を誰かのせいにはしない」という章では、「親ガチャという言葉が嫌い」と書かれています。一方で、自分ではどうしようもない家庭環境の子どもたちは、専門家に相談してほしいとも書かれています。自分でどうしようもない家庭環境の人がいると思い至ったきっかけは何だったんでしょうか。 冨永:それも年齢なんじゃないでしょうか。そういったところの人にまで目が行くようになるというのが、年齢を重ねることの良さの一つだと思います。多分10年前だったら、親ガチャという言葉に対して、なんだそれって言っていただけだと思います。でもやはり、この本でそのことに触れるには責任がありますから、相談窓口を書いた方がいいんじゃないですかという提案を自らしました。
ヘア&メイク/美舟(SIGNO) スタイリング/SOHEI YOSHIDA(SIGNO) 撮影/杉本大希 取材・文/ヒオカ
冨永 愛