60歳代はまだまだ「現役世代」なのか。60歳代の有職率・貯蓄事情について確認
60歳代の資産保有額の平均は2000万円に届かず
現代の60歳代は資産形成を行えているのでしょうか。 ●単身世帯の資産保有額の分布 まずは単身世帯について、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」を参考に見ていきましょう。 【図表2】では、単身世帯の金融資産の平均は1388万円、中央値は300万円となっています。 そして、「金融資産非保有」と回答した人は28.5%と、全体の約3割でした。また、金融資産保有者と貯蓄額が300万円未満の人をあわせると半数近くになります。 一方、「3000万円以上」の金融資産の保有者は全体の16.9%と比較的高い割合になっています。 多額の金融資産を保有している人もいますが、世間一般で見ると単身で暮らす60歳代の多くが将来のお金について不安を抱えているとうかがえる結果です。 ●二人以上の世帯の資産保有額の分布 続いて二人以上の世帯について、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」を参考に見ていきましょう。 60歳代・二人以上世帯の金融資産の平均は1819万円、中央値は700万円です。 前述の単身世帯の資産保有額と比べて、平均も中央値も高いことに気付きます。 また、「金融資産非保有」と回答した人も一人世帯よりも8ポイントほど少ない結果です。 さらに、【図表3】では「3000万円以上」の金融資産を保有している人は全体の20.3%と高い結果になっています。また、約3割が2000万円以上の金融資産を保有しています。 とはいえ、二人以上世帯の半数以上が500万円以下の貯蓄しかありません。 500万円前後の貯蓄に加えて、月額14万3973円(参照:厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」令和5年12月)の年金では節約を意識した暮らしになるでしょう。
65歳以上も働く方が生きがいを感じやすい傾向にある
内閣府「令和4年版高齢社会白書」は65歳以上の人を対象に「生きがいを感じる程度」について調査を行いました。 【図表4】では「収入の伴う仕事をしている」人のうち、生きがいを「十分感じている」・「多少感じている」と回答した人は約80%を占めています。 一方、「収入の伴う仕事はしていない」人では、生きがいを多少・十分感じている人は約68%。収入の伴う仕事をしている人の方が、生きがいを感じやすい傾向にあることが見てとれます。 高齢者の就労については否定的にみられることもありますが、実際のところある程度働く方が生きがいを感じられるのかもしれません。 例えば、年金を生活するのに十分な金額を受給している方であっても、週に何度か働くことでリフレッシュになります。 また、年金がほぼゼロの方も働き続けられるほど健康ということは、同世代と比べて幸せなことです。老人ホームなどに入居する同世代が増える中で、働き、独立した暮らしを営めることは喜ばしいことと言えます。