「だまされて譲渡」 船井電機前社長が株式の返還求め提訴 東京地裁
破産手続き中のAV機器メーカー・船井電機(大阪府)の上田智一前社長が10日、東京都内のITサービス会社に対し、株式の返還などを求める訴えを東京地裁に起こした。だまされて株式を譲渡してしまった、と主張している。 【動画】破産前、消えた300億円 船井電機の行き先は 訴状などによると、上田氏は2024年9月、船井電機の経営権を「EFI株式ファンド」(東京都)に売却して社長を辞任。売却価格は「1円」だったが、上田氏が事業で抱えた100億円以上の保証債務をファンド側が引き取るとの内容だった。保証が解除されなければ上田氏が株式を1円で買い戻せるという条項もあった。 上田氏側は訴状で、譲渡当日にファンド側が全株式をITサービス会社に転売し、上田氏による買い戻しを不可能にしたと主張。この会社とファンドは実質的に一体で、譲渡契約は詐欺だったと訴えている。 上田氏は会見で「(船井電機に対し)自分よりもいい経営をしてくれると信じて譲渡したが、会社をだまし取られてしまった。できる限りのことをやるのが自分の責任だ」と話した。 上田氏側は船井電機を事業縮小やスポンサーの支援などで再生させるべきだとして、親会社への民事再生法の適用を8日付で東京地裁に申請している。(米田優人)
朝日新聞社