「円預金じゃ増えないから全資産を外貨預金に回しました」…安易な考えによる「大損」を回避するための基礎知識【経済アナリスト森永康平氏が解説】
低金利の円預金ではお金が増えないからと、外貨預金に興味をもっている人も多いでしょう。しかし、良い点だけに目を向けて「全資産を外貨預金に入れる」などと考えるのは危険です。本記事では、人気経済アナリストの森永康平氏氏による著書『0からわかる!金利&為替超入門』(ソシム)から、金利の基本から外貨預金のメリット・デメリットまで、経済の基礎を解説します。 都道府県「電気代値上がり率」ランキング…家計調査「2022年12月」前年同月比較
登場人物 森永康平…経済アナリスト。竹田と宮野に金利・為替の知識を教えてくれる。 竹田紗香…輸出企業である自動車部品メーカーに勤める会社員(20代)。出世のため仕事に打ち込む。 宮野聡…輸入企業である食品加工の企業に勤める会社員(20代)。住宅購入や投資を検討している。
【基本のおさらい】銀行預金で「利息」が付くのはなぜ?
竹田:銀行にお金を預けるだけでも利息を受け取れますよね。どうしてでしょうか? 森永:実際には銀行にお金を貸しているとイメージしたほうがわかりやすいかもしれません。銀行は、融資をして利息を受け取るなど、さまざまな銀行業務を行って売上を生み出しています。その利益の一部を預金の利息として付けています。 竹田:利息は、銀行の利益の一部だったんですね。 森永:そうです。ちなみに、預金の利率は、口座の種類によって異なります。 宮野:昔は利率が高かったらしいですが、今はほとんど付きませんよね。 森永:確かに、バブル期には普通預金でも2%ほどの利率だったとされていますが、現在では普通預金で0.001%~0.25%。定期預金でも0.002%~0.35%ほどと、低い水準です。
銀行の金利は誰が決めているの?
竹田:銀行預金で付く金利って少額ですよね。誰がこの金利を決めているんですか? 森永:各銀行が、短期金利や長期金利を参考に決めています。 竹田:詳しく教えてください! 森永:短期金利とは、お金の貸し借りが1年未満のときに付く金利のこと。銀行預金の場合、銀行同士が1日だけお金を貸し借りする「無担保コール翌日物」の金利が指標になっています。そして、無担保コール翌日物の金利を決めているのが日本銀行です。 宮野:金利を決めるのも日本銀行の仕事なんですね。じゃあ、長期金利は何ですか? 森永:お金の貸し借りが1年以上のときに付く金利です。通常は需要と供給に合わせて市場が決めますが、日本の場合は2016年以降、金融政策の一環で長期金利も日本銀行が操作しています。