カメムシ類発生動向 数「多く」、時期「早く」 全国で前進傾向 夏以降も警戒
カメムシ類の多発と農作物被害が深刻化する中、本紙「農家の特報班」が発生動向をアンケートしたところ、今年を含む近年の発生数が以前より「多い」との回答が33都道府県、発生時期も「早くなっている」が32道府県から届いた。北海道から沖縄まで全国各地で発生数の増加と発生時期の前進傾向が浮かび上がった。専門家は今後の多発に警鐘を鳴らす。 【画像】果樹カメムシ類の被害を受けたミカン 7日までの1週間、LINEで「農家の特報班」の友だち登録者に呼びかけ、38都道府県の76人が回答。農家やJA職員ら農業に直接関係する職業属性は60人だった。 回答者の78%は発生数が以前より「多い」とした。発生時期も「早くなっている」も73%を占めた。 農水省によると、果樹カメムシ類だけに限っても、3月以降に注意報を発表したのは32都府県に上る。 一方、今回のアンケート回答を都道府県単位に分類すると、発生数が「多い」は33都道府県。そのうち「非常に多い」は21府県だった。 宮城県の水稲農家の男性50代は「以前も圃場(ほじょう)内にいることがあったが、今年は、密度が高過ぎる」、大分県の果樹農家の男性30代は「例年ほぼ見ないのに、今年は園内で多数見かける」とするなど、例年との違いを感じる農家は多い。 発生時期が「非常に早くなっている」は22道府県だった。 和歌山県の果樹農家の女性60代は「7月にちらほら見かける程度だったが、今年は6月上旬から発生」、栃木県の水稲農家の女性20代は「数は半端なく多い。昨年より2週間早い殺虫剤散布となった」との声が相次ぐ。
カメムシ類の生態に詳しい南九州大学の新谷喜紀教授の話
今年は春以降、果樹カメムシの発生が多い。斑点米カメムシは高温が増殖に好適とされるため7、8月の暑さを考慮すると今後増える可能性がある。そうした傾向は今回のアンケートからもうかがえる。夏から秋にかけて注意が必要な状態が続くだろう。
日本農業新聞