地震で店舗全壊の和ろうそく店 “仮の店舗”で再出発 七尾市
能登半島地震で建物が倒壊するなど大きな被害に見舞われた石川県七尾市の老舗和ろうそく店が、商店街に仮の店舗を構え、再出発への一歩を踏み出しました。 【写真を見る】地震で店舗全壊の和ろうそく店 “仮の店舗”で再出発 七尾市 和ろうそくに描かれているのは、春の訪れを感じさせるサクラ。そして、可憐なチューリップ。職人たちの手でひとつひとつ作られる、この「七尾和ろうそく」は、石川県の希少伝統工芸品に指定されています。 七尾市の一本杉通りで明治時代に創業し、以来、和ろうそく一筋で商売を続ける高澤ろうそく店。築100年、国の有形文化財にも登録されている店舗は、今回の地震で軒先が大きく崩れ落ち、応急危険度判定では「危険」を示す赤紙が貼られました。 高澤ろうそく店 高澤久さん 「(再建には)1、2年かかるのでそれを待っていられない。和ろうそくを毎日使うのは仏具として地元の方々が多いが、地震から2、3か月で『どこに行ったら買えるのか』と聞かれることが多かった」 5代目の高澤久さん。200メートルほど離れた商店街の空き店舗を活用し、今月14日から営業を始めました。店内に並べられるのは、1月の半ばに生産を再開した市内の工場で作られた、ろうそくやお香。その数は300種類にもおよびます。 高澤久さん 「開店を喜んでくれ、蝋燭のあかり、プレゼント用にと買ってくれています。もちろん和ろうそくを買いに来て下さる方もいるが、気軽に話しにきて少しでも気が和らげばいいなと」 全壊した店舗は19日、ようやく軒先部分の解体が始まったばかり。店の再建のめどは立っていません。それでも、高澤さんは地元の常連客に長く愛されてきた「和ろうそく」を絶やすまいと、商店街に希望のあかりを灯します。 高澤久さん 「店が開かないと商店街は機能しない。我々ができることは店を開くことで、日常に戻ってきているというのを感じてほしい」
北陸放送