ひろゆき&リュウジのバズ論破トーク⑫ なぜ味の素にばかりアンチがいる? リュウジが語る、知られざる味の素の歴史【この件について】
リュウ 「◯◯は買ってはいけない」「食べてはいけない△△」みたいな本や特集がはやったことがありましたよね。その中では味の素がやり玉に挙げられていました。ただ、この手の本は量の概念をすっ飛ばしているんですよ。1日の摂取量としてはありえない量で実験している。そんなこと言ったら、水も大量に飲めば死にますよ(笑)。 ひろ ネットで「マスコミが人数を強調するときは割合を疑え、割合を強調するときは実数を疑え」みたいに言われているんですが、マスコミにミスリードされているわけですね。 リュウ 最初から大企業を批判する目的だったり、お金のためにやっている人も多いと思うんですよ。不安をあおると儲かる世の中じゃないですか。 ひろ 不安をあおって信者から大金を巻き上げるカルト教団もありますからね。そうか、アンチ味の素というのはビジネスになるのか。なら、リュウジさんはそっち方面でもレシピ本を出せばいいんじゃないですか?(笑) リュウ 不安をあおって儲けたいなんて気持ちは1ミリもないですが、味の素を一切使わないレシピ本は出したいと思っています。というのも、味の素を使わなくてもおいしいレシピを紹介できたら、理論武装できると思うんですよ。「リュウジは味の素を使ったレシピを出しててけしからん!」と言われても「いや、味の素を一切使わない無添加レシピも出してますよ?」と言えるじゃないですか。 ひろ それはできそうなんですか? リュウ 手間はかかりますが、できます。最近は「無添加でどこまでおいしくなるか」みたいなのを突き詰める料理もけっこうやっているんですよ。この前は、鶏がらスープや味の素を使わず、昆布とかつお節とお肉だけでラーメンを作りました。ただ、そのレシピを作って思ったのは「昆布を味の素にしていたらもっと早いな」ということなんですよね(笑)。 ひろ 味の素を使ったほうが時短になったり、おいしい料理が食べられるようになるのに「使いたい人は使えばいいじゃん」とならないのは、味の素は何を失敗したんですか? リュウ 味の素の歴史は100年以上あるんですけど、初期の頃は「耳かき1杯分でおいしいおわんが作れますよ」という感じの売り込みで売っていたんですよ。でも、精製の方法が確立されていなくて最初はめちゃくちゃ高価なものでした。高級料亭が「うちは味の素を使っています」と宣伝していたくらいですから。 ひろ 高級店が売りにするくらいだったんだ。 リュウ そうなんです。 ひろ じゃあ、味の素はむしろ高価なままのほうが良かったかもですね。 リュウ 高いままだったら、誰もが憧れる超高級調味料だったでしょうね。でも、味の素は企業努力で値下げをして庶民の手に届けようとした。その結果......。 ひろ アンチからめちゃめちゃ叩かれる存在になったと(笑)。それに加えて、やっぱり白い粉タイプのうま味調味料は、味の素が知名度的にほぼ独占状態ですからね。そりゃあ「◯◯は買ってはいけない」的な界隈の人たちにも狙われますよ。 リュウ なので、いの一番とかハイミーにもっとがんばってもらえると、アンチ味の素は減っていくかもしれないですね。 ひろ それにしても、庶民のためを思って価格を安くしたら、アンチが増えるというのは......。 リュウ だから不遇なんですよね。 *** ■西村博之(Hiroyuki NISHIMURA) 元『2ちゃんねる』管理人。近著に『生か、死か、お金か』(共著、集英社インターナショナル)など ■リュウジ(RYUJI) 1986年生まれ、千葉県出身。料理研究家。近著に『虚無レシピ』(サンクチュアリ出版)など。公式X【@ore825】、公式Instagram【@ryuji_foodlabo】、公式YouTubeチャンネル『料理研究家リュウジのバズレシピ』 構成/加藤純平(ミドルマン) 撮影/村上庄吾