<飛躍!今年こそ・健大高崎2021センバツ>第2部/2 教え子の活躍、目細め 桐生市教委・星野裕之さん(45) /群馬
◇小4から見守る野中選手 本来は左翼手ながら昨秋の県大会で先発投手に起用された野中駿哉(2年)は、関東大会の全試合でも先発を務め、連覇の立役者となった。桐生市立新里東小4年時の担任で、現在は同市教育委員会に勤務する星野裕之さん(45)は教え子の活躍に目を細めている。 「男気があり、周りからの信頼も厚い子でしたね」。星野さんは当時の担任クラスで、おふざけが過ぎるある児童に手を焼いていた。野中を通じて注意してもらったところ、その児童が落ち着いたことがあったという。 星野さんの子どもに対する態度は「けんか両成敗」。児童間でトラブルが起きると、両方の意見を聞き、何が悪かったのかを本人たちに考えさせる。野中も「優しさとは何かを教えてくれた先生でした」と語る。 星野さんには忘れられない光景がある。野中は小6で埼玉西武ライオンズジュニアに入団。ユニホーム姿で小学校の校長にあいさつした際、その姿が現在の西武のゼネラルマネジャー(GM)、渡辺久信さんと重なったという。渡辺さんは西武の投手として活躍した、知る人ぞ知る桐生出身のヒーローだ。「入りたくて入れるチームじゃない。かっこよかったですね」。埼玉まで試合の応援に行ったこともある。バッターボックスでの堂々としたたたずまいに「将来を期待せずにはいられなかった」と振り返る。 星野さんは現在、市教委のスポーツ振興係で、東京五輪の聖火リレーに向けた準備を進めている。野中と直接関わることはないが、家が近く、ランニングなどで顔を合わせれば事あるごとに声を掛けている。野中が中学時代にけがに悩まされていた姿も見てきたため、いつもねぎらいの言葉を掛けているという。 教え子の影響で、今ではすっかり健大高崎のファンだ。「健大の野球は、見ていて楽しいですよね。教員として、選手の力を伸ばす青柳博文監督の指導も見習いたい。センバツでは一戦一戦を大事にして、けがのないように頑張ってほしい」【川地隆史】=つづく