若い世代が地域防災イベントを企画 「いのちを守るため、災害を自分事に」 広島土砂災害から10年
広島ニュースTSS
広島土砂災害から10年となった今年は、改めて地震の恐ろしさを痛感した1年でした。 いつ起こるかわからない有事に備え連携を深める地域と学生の「イマ」を取材しました。 広島土砂災害から10年を迎えた今年…。 1月に能登半島地震が発生。 8月には南海トラフ地震への注意を呼び掛ける臨時情報が初めて発表されるなど災害の恐ろしさを改めて痛感した一年でした。 そうした中、広島市安佐南区で地域住民が集まったのは大学生が主催する”お祭り”。 地域の人とつながる「結」をテーマに会場で特に力を入れたのが防災を意識したコーナーです。 【広島経済大学「祇園・興動祭実行委員会」和田健人実行委員長】 「広島の豪雨から10年ということで安佐南区社協とのブースを出展するという話し合いの時に何か防災のことができたらいいねと…」 去年、地域連携協力に関する協定を結んだ大学と安佐南区の社会福祉協議会。 中国地方でも珍しい取り組みで、災害時への備えなど未来に向けてより強固な連携を築こうと歩み出しました。 今回の祭りでは普段、あまりイベントで設置されたことのない「社協」によるボランティア相談や過去の災害を振り返るパネルなど、地域のボランティアグループとも連携したブースを複数展開。 【広島経済大学災害を知り未来へつなごうプロジェクト・伊藤香さん】 「実際に防災バッグを作ってもらおうというコーナー。家で何を準備したらいいかわからない人とか多くいて、実際に触って体験してもらうことで印象に残るかなと」 まず、1日分の品数や重さを知り、身近なモノとして意識してもらおうという狙いです。 伊藤香さん「これをもって避難所に行ける?」 小学5年生「意外といける!お母さんも持ってみて」 お母さん「おも…重たい」 またこちらは、災害時に役立つ牛乳パックを使った「笛」づくり体験。 【孫と訪れた人】 Q:作ってみてどう? 「楽しいですね。(災害に)備えておかないといけないと思うんですけど(進んでいない)」 孫「♪ピー・ピー」 Q:笛づくりとか、体験することは考えるキッカケになる? 「そうですね」 【和田委員長】 「やはり自分たちが風化させないという(思い)が強い。こういう過去があったということを知って、みんなでもっと意識を持って過ごしていけたらなと」 2011年の東日本大震災以降、災害の記憶を風化させまいと先輩から後輩へとバトンを繋いできた学生たち。 今月は、宮城県仙台市で被災した自宅の跡地を拠点に人が住めなくなった地域でのまちづくりを目指し活動している庄司さんらを招き、「地域のつながり」を学ぶイベントを企画しました。 【海辺の図書館(宮城・仙台市)庄司隆弘 館長】 「よく言われるんですよ。どこまで行ったら復興は終わるんでしょうかとか…。心の復興はいつになったら成し遂げられるのか。何か自分の中でまだぐちゃぐちゃしているんですよ。 風化にあらがうことは(年月とともに)非日常が日常になった中でも継続できるような人と場、そういったものがそこにありつづけるということが大切なのかなと思う」 年月の経過とともに当時を語ることができる被災者は、自然と少なくなっていきます。 命を守るために、1人ひとりが「自分事」として捉え繋いでほしい…。 学生たちの「種まき」は続きます。
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