徳之島コーヒー初の収穫祭 年内にテスト販売を予定 味の素AGFが協力
2023年12月には、AGFは丸紅と協力してコロンビアから技師を徳之島に招聘。土壌学の修士号と植物生理学の博士号を持つ農業エンジニアが、2日間にわたり徳之島コーヒー生産者会の農園を巡回して栽培についてアドバイスした。 「自分の畑だけではなくメンバーの畑にも同行してしっかりメモをとりながらアドバイスを受けていた。農業エンジニアからは全般的に、カポックや千年木(センネンボク)などの防風林で対策を講じている点が評価された一方、水やりや土壌の管理が課題とのご指摘をいただいた」という。 防風林は台風対策になりうるが、新規参入者にとって防風林づくりを伴う参入は重荷になるとの見立てから、新規参入の間口を広げるべく「平張りハウス」の実証実験を推し進めている。
「平張りハウス」は、AGFの支援により、23年9月、生産者会副会長の泉さんの農場の一部に新設された。今後、「平張りハウス」への苗木の植樹が予定されている。 2023年度のコーヒー豆の収穫量は、台風などの被害が少なく天候にも恵まれた結果、コーヒー豆の育ちが良く、22年度よりも増加を見込む。 この見立てを受け、今秋をめどに島内中心でテスト販売を計画する。「販売時期は9月か10月頃にを予定しているが、まだ販売場所は定まっていない。当社は加工やパッケージングなどで協力していく」と述べる。
徳之島コーヒー生産支援プロジェクトは、2017年6月に伊仙町役場、徳之島コーヒー生産者会、丸紅、味の素AGFの4者が契約締結し開始した。 丸紅は種の提供や世界の産地の技術情報提供をし、味の素AGFは防風対策の支援や肥料などの提供を行う。 伊仙町役場はそれらの橋渡しやPR活動を行い、徳之島コーヒー生産者会が実際にコーヒーを栽培している。2024年3月現在、徳之島コーヒー生産者会の会員は30人前後にのぼる。 「生産者会の皆様が主体となるプロジェクトで、我々はサポート役でしかない。今回の収穫体験や今後のテスト販売などを通じて機運がさらに醸成され、生産者会の活性化にもつながってほしい」と期待を寄せる。