<声優業界>「養成所に2年で100万円」「オーディション合格は宝くじを買うような感覚」声優志望者を取り巻く環境は厳しすぎるのか…31歳男性が語った“それでもめざす”ワケ
それでも養成所に通い続ける理由
念願の声優になれても最初は仕事がないうえ、事務所にレッスン料を払い続ける……。 お金の話だけ聞くと、どうしてもネガティブな印象を抱いてしまう声優志望の界隈。それでも養成所に通い続ける理由はなぜなのか。 「お金と声優になれる確率ばかりを見て批判する人がいますが、では、これが趣味だと考えてください。年間40万円は、月で割ると3万円ほど。確かに安くないですが、趣味にこれくらいのお金を払っている人は大勢いますよね? また、勘違いしないでほしいのが、養成所に通っている人たちはそのほとんどが、講習・レッスンが好きで参加しています。プロが本気で指導してくれ、ときにはそのプロに褒められ、認められる。これが、仕事を繰り返すだけの社会人生活では体験できない刺激をもたらしてくれます。 ある人は、入った当初は地味だったのが、1年で見違えるほど明るくなりました。人によっては、声優になれるかどうかは、それほど大きな問題ではないかもしれません。ゴルフを趣味でやっている人が、ゴルファーになることを目的としていないのと同じなのです」 確かに多くの人は、その先にお金や仕事に繋がらない趣味を多数もっているだろう。養成所は“その先がある趣味”と考えてみると、見え方が変わってくるかもしれない。 「養成所は技術を学ぶだけではありません。自分を解放して演技をするので性格はやはり明るくなりますし、クラス単位で動くので人間関係も面白い。そこでさまざまなつながりも生まれる。養成所は“大人の学校”と考えてもらってもいいかもしれません。 もちろん、そんなキレイごとばかりじゃなく、多くの人が『いつか成功したい』『目立ってみたい』『何かをかたちに残したい』と胸に抱きながら日々奮闘しています。 もちろん辛いことだってあります。ですが、普通に仕事をしているだけでは味わえない何かが、声優の養成所にはあるのは間違いなく、これは実際に通った人にしかわからないものだと思います」 フコク生命が2022年9月に発表した「大人の習い事費用」に関するアンケート調査では東京都が全国で1位、月に16,348円であった。何にお金をかけて、何に幸せを感じるのかは、人それぞれということなのだろう。 取材・文/集英社オンライン編集部
集英社オンライン編集部