水俣病担当審議官を新たに配置 現地懇増やし発言時間も十分確保へ…マイク切り批判に環境相「深く反省」、寄り添う体制強化を表明
伊藤信太郎環境相は10日の閣議後会見で、水俣病の患者・被害者らとの懇談の際にマイクの音を切って発言を遮った問題を巡り、「関係団体との信頼関係を高めるため、大臣、副大臣、政務官ら各レベルで現地を訪問して懇談する機会を多くつくる」と述べた。水俣病問題を担当する人員を増強する考えも示した。 【写真】〈関連〉松崎重光さん(手前左から2人目)に謝罪する伊藤信太郎環境相=8日午後6時15分ごろ、熊本県水俣市の水俣病センター相思社
伊藤氏は「今回の深い反省の上に立ち、環境省として皆さまに寄り添って対応していく」と強調。同日付で新たに水俣病担当の審議官を配置するほか、現在12人いる特殊疾病対策室の人員を増やすなど実務面を強化するとした。 患者・被害者団体からの要望を受け、改めて設けると表明した懇談の場については「相手方との調整もあり現時点で具体的な時期を示すのは難しいが、できるだけ早く実施したい」とした上で「発言時間を十分確保し、丁寧にご意見が聞ける運営をする」と話した。 今回の問題を受け、患者・被害者団体には「持ち時間を守らない方が悪い」といった非難するような連絡が入っている。伊藤氏は「本当に申し訳ないことで深く反省している。二次被害の防止を含めて皆さまに影響が出ないようにしたい」と語った。 衆院環境委員会では、立憲民主党の渡辺創議員(宮崎1区)が水俣病被害者の救済のために新たな議員立法を検討しているとして「賛同してほしい」と迫った。伊藤氏は「被害者を救うものであれば賛同して後押ししたい」と答弁した。
懇談会は、熊本県水俣市で1日あった犠牲者慰霊式の後に開かれ、八つの患者・被害者団体と伊藤氏が出席した。団体側の発言中、持ち時間の3分が過ぎた後、環境省の職員が発言者のマイクの音を切った。
南日本新聞 | 鹿児島
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