海側に落ちれば数十メートルの崖「血の気が引いた」 目の前で道路が崩落、タクシードライバー緊迫の瞬間 降車後には対向車に危険を知らせる姿がドラレコに
記録的大雨の影響で崩落した県道大社日御碕線の現場では、崩落に巻き込まれる直前に止まり、難を逃れたタクシーがあった。運転手の男性(66)が12日、取材に応じ、当時の状況を振り返った。ドライブレコーダーに残っていたのは緊迫の瞬間。一方、対向車線の車に引き戻すよう呼びかけるプロとしての仕事ぶりも記録されていた。 【動画】目の前の道路崩落、とっさのハンドル ドライブレコーダーに残された映像
県道は山肌に沿って出雲市街地と日御碕を結び、曲がりくねった箇所が多い。海側は数十メートルにわたる崖だ。 男性は出雲観光タクシー(出雲市大社町北荒木)で23年間勤務するベテラン。9日は外国人観光客2人を日御碕地区の宿泊施設に送り届けた。雨が降る帰り道の午後6時19分。路上の穴が視界に入り、とっさに山側にハンドルを切った。「海側はまずいと思った」と振り返る。 車は山側の側溝にはまった。ドアを開けると道路の一部が崩れ、人一人が歩ける程度の幅しかなかった。海側のガードレールが宙に浮いており「あり得ないことが起こった。血の気が引いた」という。 溝にはまった後は「危ないので車を離れる」と冷静に会社に連絡。午後6時23分には、道路がさらに崩壊するガラガラという音と、避難する様子がドライブレコーダーに写っている。一方、降車後は両手で合図をして対向車に危険を知らせた。 出雲観光タクシーの渡部稔社長は「降車後に他の人を助ける姿勢が何より素晴らしい」と話した。