鈴木一男さん（中央）が制作した神輿。大江の秋まつりでお披露目される＝大江町小見

　大江町に作業場を構える大工鈴木一男さん（73）＝寒河江市高屋＝が制作した神輿（みこし）が、同町のＪＲ左沢駅前広場で15日に開かれる「大江の秋まつり」で初めて練り歩く。神輿は2016年に完成したが、担ぎ手の確保が難しく、これまで渡御の機会がなかった。事情を知った大工仲間を通じて担ぎ手が集まり、参加が実現した。鈴木さんは「長年の願いがかなった」と興奮気味に話す。 　鈴木さんは17歳から大工として働く。伝統の「木組み工法」を後世に伝えたいと、仕事の合間を縫って独学で作り始めた。総ケヤキ製で、一つ一つの部材を切り出して組み合わせ、5年ほどかけて完成した。屋根を支える部分は幾重にも部材が重なり、精緻に作られている。 　神輿は完成後、町中央公民館や寒河江市文化センターで展示されてきた。鈴木さんは担ぎ手グループの「原どじょう貝」の会長を務め、まつりへの参加を望んだが、作業場がある原地区に若者が少なく、同グループは活動休止の状況だった。なかなかメンバーがそろわず、鈴木さんは「難しい状況だった」と振り返る。

　半ば諦めていた今年、大工の義兄の弟子が知人に声をかけ、支援の輪が広がった。40代を中心に約30人が手を挙げ、7月末に参加が決定。「やっと担げる。たくさんの人が協力してくれて心強い」と感謝を口にする。 　同グループメンバーで渡御の頭を務める同町小見、大工鈴木好一さん（72）は「町が活気づくように歩きたい」と気合十分。まつり当日の飛び入り参加を歓迎する。まつりでは原どじょう貝を含め、神輿3基が渡御を繰り広げる。