<箱根駅伝>距離短縮でも5区にドラマあり。新・山の神は誰になる?
箱根駅伝の「区間エントリー」が29日に行われ、エースたちの区間配置が見えてきた。 そこで、信じられないドラマが何度も巻き起こった5区の戦いがどうなるのか。「山の神」はどこにいるのか? を探っていきたいと思う。 第82回大会(06年)から前回までは5区が最長区間だったこともあり、その影響力は巨大だった。全11大会で、5区で区間賞を獲得した大学が10回も往路を制して、そのうち7回は総合優勝まで突っ走っている。順大・今井正人(現・トヨタ自動車九州)は4分09秒差を、東洋大・柏原竜二(現・富士通)は4分58秒というビハインドをひとりでひっくり返した。 今大会から往路の小田原中継所が以前の位置に移動。5区の距離が23.2kmから20.8kmに短縮される。新たなる“山”の戦いはどう動くのか。距離が短くなるため、単純計算では前回までのような大差がつくことはない。しかし、エース級が他の区間にまわり、全体的なレベルが下がると、エース級を配置できるチームは逆に大差をつけるチャンスとなるはずだ。 では、今大会は5区にどんな選手が登場するのか。3連覇を目指す青学大は貞永隆佑が入り、他にも5区の候補に挙がっていた茂木亮太は補欠に登録された。原晋監督は区間上位が見込める「1時間12~13分」を想定しているが、ふたりは箱根駅伝初出場となる。選手層が厚いチームとはいえ、5区には不安があるだろう。 反対に強力な経験者を5区にぶつけることができるのが駒大と早大だ。駒大は前回4位の大塚祥平、早大は前回5位の安井雄一が5区に登録された。特に大塚は全日本大学駅伝の最終8区(19.7km)を58分03秒の区間3位で走破しており、区間賞候補の筆頭。本人は「1時間10分台を目指したい」と話しており、青学大との差を一気に逆転できる可能性を秘めている。 今回の区間エントリーで最大のサプライズとなったのが、山梨学大だ。出雲と全日本の1区を好走して、箱根でもスターターが有力視されていた上田健太が5区に登録された。上田は上田誠仁監督の次男。前回は3区を走り、大会史上初めて現役監督&選手で箱根出場を果たしている。今季はトラック、ロードともに安定感が出てきて、大きく成長した。わざわざ1区からコンバートするくらいなので、よほど自信があると見ていい。上田監督も順大時代に箱根5区を3度走り、区間賞を2度獲得。往路Vのゴールテープにも2度飛び込んでいる。35年以上のときを経て、上田ジュニアが「山の神」として降臨するか。 上田家以外にも、今回は父子クライマーが登場する可能性が高い。大東大の5区にルーキーの奈良凌介が入ったからだ。父親は奈良修監督で、学生時代は4年連続で5区を務めるなど、大東大の黄金時代を支えた中心選手。奈良監督は1年時に区間賞を獲得しているが、長男・凌介はどんなデビューを飾るのか。