〝ビッグ発言〟大騒動の中、ジャニーズ退所 何らかの力か、スマスマ出演は話にもならず… 話の肖像画 歌手・田原俊彦<23>
《平成6年の記者会見で、妻との結婚・出産などプライベートなことに関し、「何事も隠密にやりたかったけど、僕ぐらいビッグになっちゃうと」と発言。するとメディアが一斉に〝ビッグ発言〟と報じ、「思い上がっている」などと批判、激しいバッシングを受ける》 【写真】艶やかなパープルの照明のなか、キレキレの足上げを披露する田原俊彦 これに至る布石があるんです。結婚前の半年間、約30人の報道陣に毎日、自宅周辺を張り込まれました。あまりにひどいので憤り、マンション屋上から水を掛けたり、生卵を投げたりしたんです。ロケット花火を向けたことも…。まるでマンガだけど、それほど憤慨していた。芸能人の生活をのぞくことが日本人は好きなんでしょうか? そもそも結婚なんて、メディアで発表するものではないし、結婚披露宴も見せるものではない、と僕は思った。もちろん、結婚発表をする方もいらっしゃるし、あの当時はやらなければいけないという時代でしたね。 今なら、ファクス一枚で「結婚しました。2人で力を合わせます。ご指導、ご鞭撻(べんたつ)をよろしくお願いします」ですみますが…。あの時代はそうでなく、記者発表しろ、みたいな空気がありましたね。 僕がひどいと思ったのは、嫁さんが妊娠しているのに、記者に囲まれ、追い掛けられたことです。彼女が転んで流産でもしたら一体、どうするつもりなのか、と怒りが湧いてきました。 彼らは夜、うちの隣のマンションにも勝手に入り、こちらを撮影した。カメラに赤いランプがつくから、すぐ分かるんです。 僕たちとしては、メディアに囲まれて生活にならない。病院や近隣の方にも迷惑がかかる。だから、「表に一回出ないと駄目だな」と思い、記者会見をしたわけです。 《田原さんにとって、真摯(しんし)にメディアに向き合った1時間の記者会見、のはずだった…》 僕の〝ビッグ〟という言葉が切り取られ、大きく報じられました。執拗(しつよう)なメディアに「ノー、ノー」と言い続け、記者発表をしなかったせいか、見事に手のひらを返された形。うまいことやられましたね。「さっ、ほら、やっつけろ!」って。 僕はその後、引けばよかったけど、引きたくなかった。言うことを聞かない自分がいたんです。でも大騒動になってしまって…