知らない歴史、巡ろう 高校生が地域活性化ツアー提案 奈良・桜井
歴史文化と木材の街・奈良県桜井市を活性化させようと、桜井ロータリークラブが県内高校生を対象に事業計画を公募したコンテスト「桜井MORIMORIプラン」の最終審査会が県立商高(桜井市河西)であった。出場者による熱気のこもった発表の結果、2025年のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」などを題材にした県商高経営ビジネス科3年生7人グループの観光ツアー案「まだまだ知らない桜井」が最優秀賞に輝いた。【望月靖祥】 ◇コンテストで最優秀賞 来年大河ドラマなど題材に コンテストは若者の視点をまちづくりに生かそうと22年から実施されており、今年で3回目。毎回優秀なプランが寄せられ、中には大和高田市立高田商高生によるSNS(ネット交流サービス)を通じたPR活動「ひみっこ発信隊」のように、既に実現したものもある。 今年は230点を超す応募があり、一次選考で5校17グループ・個人のプランに絞り込まれた。最終審査は16日に行われ、出場者はプロジェクターを使って持ち時間5分間でプレゼンテーション。各寺社に切り絵の御朱印を作ってもらう案や、各地の仏像をゆるキャラ化してPRする案、桜井市内に道の駅を新設する案などが発表された。市幹部や地元財界関係者らが「桜井らしさ」や「実現性」などを基準に審査し、入賞5プランが決まった。 最優秀賞プランは、「地元の人にもあまり知られていない歴史」を訪ねるショートツアー案。(1)豊臣秀吉の弟・秀長を主人公にした「豊臣兄弟!」(2)幕末の尊皇攘夷(じょうい)派武装集団「天誅(てんちゅう)組」(3)江戸時代などの大絵馬――の3テーマを設定し、市内に点在するゆかりの地を巡る。参加者の知的好奇心を満たすことができ、しかも安く簡単に実現できると主張した。 表彰式にはグループ7人のうち5人が出席し、桜井ロータリークラブの内田リカコ会長から賞状を受け取った。メンバーは今夏からプランの策定作業を開始し、有識者を訪ねて勉強したり、現地を調査したりしたという。リーダーの吉田邦真さん(18)は「天誅組の知識がほとんどなく、ゼロから調べた。苦労しただけに自信はあったが、実際に選ばれてほっとした」と受賞を喜んだ。 内田会長は「桜井を盛り上げようという出場者たちの熱意に感動した。中でも最優秀プランは、具体性や企画力で他のプランを圧倒していた」と話していた。