山体崩壊発生の長野県西部地震、教訓を次世代へ 発生から40年、講演会の計画
当時を知る村民らの語り合いも
王滝村を震源として1984(昭和59)年9月に発生した県西部地震から40年となる9月15日、地震研究者らでつくる歴史地震研究会(東京)が村内で講演会を計画している。当時を知る村民が少なくなる中、節目の年に災害を振り返り、次代に教訓や備えを継承していこうと企画。研究者による講演の他、被災した村民に当時の状況などを語ってもらうことも検討している。 【写真】県西部地震の山体崩壊地「御嶽崩れ」
村の資料によると、県西部地震は9月14日午前8時48分に発生。土石流や崖崩れにより死者、行方不明者は29人に上る。全壊した家屋は14棟、村内の被害総額は約417億円。御嶽山では地震により山体崩壊地「御嶽崩れ」ができ、その土砂で川がせき止められ自然湖ができた。村は毎年、慰霊碑の前で追悼式を開いている。
同研究会は機器観測時代以前の地震について文献を中心に研究する学会。当日は、地震発生当時から原因など研究を続ける元京都大教授でNPO法人阿武山(あぶやま)地震・防災サイエンスミュージアム(大阪府高槻市)の飯尾能久理事長(地震学)らが講演する。当時を知る村民や来場者が震災を語り合う時間も設け、被災体験などを共有する考えだ。13、14日には研究会員らの学術的な研究発表会も木曽町で計画している。
同研究会は、全国各地でほぼ毎年1回研究会を開いており、県内では善光寺地震をテーマに2000年に長野市で開催。23年は神奈川県小田原市で関東大震災を題材に開いた。同会会員で、町内の名古屋大御嶽山火山研究施設の金幸隆(キムヘンユン)特任講師は「災害の記憶を伝承し、土地の性質や成り立ちを考えることで未来につなげる機会にしたい」と話している。