史上初の開幕3戦3発。中日の新外国人、ビシエドの何がどう凄い?
中日の新外国人、ダヤン・ビシエド一塁手(27)が阪神との開幕3連戦で、NPBの1年目の選手としては史上初となる3試合連続本塁打を記録した。打率・615、6打点の大爆発。試合は、負け越したが、超大物助っ人となる予感を漂わせる。この新外国人、何がどう凄いのか。その理由を探ってみた。
藤川球児が思わず苦笑いを浮かべた。 27日の阪神対中日戦。4回一死から4番のビシエドに投じた初球のカーブが少し甘く入ると、フルスイングされ、高々と舞い上がった打球は、失速することなく、バックスクリーンのはるか上の壁にぶつかり、跳ね返ってきたのだ。NPBの1年目の選手では史上初となる開幕3戦3発。 「ボールがよく見えている」と、脅威の新外国人は、さらっと言う。 ビシエドは、19歳になった2008年にイカダに乗って海を渡り、命からがらキューバを脱出した亡命キューバ人。マイアミのシンジケートを使い、ドミニカ国籍をとり、その年の暮れにはホワイトソックスと4年、1000万ドル(約11億6000万円)で契約を結んだ。2010年にメジャーデビュー。12年にはレギュラーとなり147試合で、打率.255・25本塁打・78打点の成績を残した。 この年に外野のポジションを争っていたのが、阪神の福留孝介(38)である。翌年は脇腹痛などの怪我に泣き14本に終わったが、2014年は再び21本塁打をマーク。メジャー5年で通算66本塁打を放ち、昨年は1年440万ドル(約5億円)でホワイトソックスと再契約を交わしたが、キャンプ前にチーム事情でリリースされ、一度もメジャーに呼ばれることなく、マイナーの3球団を渡り歩いた。 メジャーの5年間で、出塁率が.298と低く、三振率は21.6パーセント。典型的なフリースインガーで、早打ち傾向が強く、レフト、ライトを守っていた外野の守備にも不安があるため、右打ちの大砲として魅力があったにもかからわずメジャーでは敬遠されていた。 その隙を狙って、ドミニカルートに強い中日の森ヘッドコーチ兼国際渉外担当が、ドミニカとビシエドが居住していた米国マイアミを何度も往復して熱心に口説いた。 中日は、失敗した場合のリスクを考え、安価のギャランディーで未知なるプレーヤーを発掘してくるのが新外国人選手の獲得に関するポリシーだったが、ビシエドに関しては、推定1年、1億7000万円の条件を積んだ。それほどのお金を使って勝負したのは、昨季は12球団ワーストの71本塁打と低迷した“水鉄砲打線“にかつてのウッズ、ブランコ級の大砲を補強することが急務だったからだ。 タイロン・ウッズは、03年に横浜(現DeNA)で40本を放って、いきなり本塁打王に輝いた。中日に移籍後、2年目の06年には47本塁打、144打点で2冠王。そのウッズの次に中日の4番に座ったトニ・ブランコは、1年目の09年に39本塁打、110打点で2冠王。チームをCS出場に導いた。ビシエドにウッズ、ブランコの再来を期待して狙いを定めていたのだが、開幕3戦にしてその可能性を見せてくれたのだ。 元千葉ロッテの里崎智也氏は、ビシエドのバッティングをこう分析している。