【長崎】後継者問題解決や地域活性化を目指して…雲仙九州ホテルが「事業承継」
NCC長崎文化放送
107年の歴史を持つ雲仙市の「雲仙九州ホテル」。 【写真】後継者問題解決や地域活性化を目指して…雲仙九州ホテルが「事業承継」
今年10月、これまで経営を担ってきた社長がその座を退き、新たな会社に事業を承継しました。その決断に至った理由とは? 雲仙地獄のすぐそばにある「雲仙九州ホテル」。全ての客室に湯けむりを感じられる見晴らしの良いテラスと源泉かけ流しの半露天風呂を完備。和と洋が調和した空間を提供しています。 創業は1917年。歴史あるホテルが10月31日、大きな転機を迎えました。 雲仙九州ホテル前社長・七條彰宣さん(55): 「娘を嫁に出す、父親の心境ってこんな感じなのかなっていうふうに思いました」 東京に本社を置き、アジアやアメリカ、国内では30のホテルや旅館、レストラン、ブライダル事業を行う企業「Plan・Do・See」とその投資ファンド会社「PROSPER(プロスパー)」に事業を引き継いだのです。 いわゆる「事業承継」による新たなスタートです。 「事業承継」とは、会社や事業を後継者に引き継ぐこと。かつては、経営者の親族や従業員が後継者となるのが一般的でしたが、近年は、企業の合併や買収、いわゆる「M&A」を通じて外部の人や会社に引き継ぐケースが増えています。 10月まで社長を務めてきた七條さんは現在55歳。ホテルは2018年に建て替えたばかりで経営状況も不安定だったわけではないと言います。社長を退くにはまだまだ早いようにも見えますが、一体なぜ「事業承継」に踏み切ったのでしょうか。 雲仙九州ホテル前社長・七條彰宣さん(55): 「私は世襲的な後継者がいないので、事業承継をいずれしないといけない時に出来ればそういう…自分なりに、志向が合っているんじゃないかなと思えるようなところにもし受け継ぐことが出来たら一番いいなというのがあって。あとはまた、ホテルという業種は時間が経つと、リニューアルを続けて繰り返していかなければならないという意味では資金調達という面でも今までも銀行をはじめ、色々ご理解ご支援いただいて、そのおかげでやってこられたんですけど、この先を考えた時にずっと続けられるかという保証はないわけで」 後継者不足や資金面の不安、今後のホテルの在り方を考えた末の「一大決心」。七條さんはもともと「Plan・Do・See」が手掛けるホテルに興味を持っていたことから、自ら事業承継を働き掛けたといいます。 Plan・Do・See 三原直さん(49): 「これは後々知ったんですけれども、我々が2000年の頃からやっているホテルやレストランを(七條さんが)ご覧になっていただいていた、好感を持っていただけていたと」 国内外様々なホテルを手がける「Plan・Do・See」。長崎県のホテルに携わるのは初めてです。 Plan・Do・See 三原直さん(49): 「我々は業歴30年くらいで今まで各地域の有形文化財や事業再生をやってきたことから、ありがたいことにこういうお話、ご縁を頂くことがありまして、年間数百件お話を頂くんですけれども、その中で片手で数えられるほどしか本当に素晴らしいと思う物件や我々が出来るものがない。雲仙は元からすごく唯一の場所。日本という所だけじゃなくてアジアからのインバウンドとか、海外の人から見てもこんなに美しい場所はないので、こんないいお話頂けるのっていう形でぜひという形でこういうご縁に至りました」 新たな社長に就任したのは、「Plan・Do・See」と共に「雲仙九州ホテル」の事業に出資した中小企業に投資し、地域活性化を目指す投資ファンド運営業「PROSPER(プロスパー)」の社員、森戸義祐さん49歳。 雲仙九州ホテル新社長・森戸義祐さん(49): 「新しいものをつくるというよりは、これまで前社長が大事にされてきて、先代、先々代から大事にされてきた雲仙九州ホテルの歴史も大事にしながら、歴史を磨いていくような形で大事にしながらもっといい形に出来たらなというのが思うところです。まだまだこのホテルの使っていない場所もございまして、お金を投入して既存設備の改装や新しい場所を作ったり、お客様に魅力的な場所が提供出来たらと思いますし、従業員さんも良かったなと思っていただけるような場所に出来たらと思っています」 社長から顧問となった七條さんは、その姿を見守る立場となりました。 雲仙九州ホテル前社長・七條彰宣さん(55): 「お客様の期待に応えて魅力的にしていただきたい、働くスタッフの皆にやりがいを実感してもらえるようになったらと期待しています」 今あるものを生かして、その価値を上げるホテルづくりを。新生「雲仙九州ホテル」の挑戦は、始まったばかりです。
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