岸田首相「国賓訪米」で痛感した、国民の知らぬ間に、日本が新たな制度や同盟関係に引きずり込まれるリスク
日米首脳会談の大きな議題
「岸田政治は、見かけによらない大胆さが特徴だ」――ある側近の議員は、岸田文雄首相の執政をこう評す。 【写真】岸田総理が食べた「毒まんじゅう」、そして二階元幹事長は嗤う たしかに、内閣支持率は2割前後と低迷しているが、5年間で43兆円という防衛費の増大から、最近の自民党39人処分による派閥解体まで、岸田首相は見かけによらず(? )、大胆な政治を断行している。 そんな岸田首相が、今度は外交面でも一歩踏み出した。4月8日から14日まで1週間にわたって、アメリカを国賓として訪問。アメリカとの同盟関係を新たな段階に「深化」させたのだ。 まず、岸田首相の訪米の主な日程は、以下の通りだった(アメリカ東部時間)。 ---------- 9日: アーリントン国立墓地訪問、ブラッド・スミス・マイクロソフト社副会長兼社長と懇談、全米商工会議所及び米日経済協議会主催の昼食会、日米友好・協力を担う次世代と対話、全米日系米国人慰霊碑を訪問、ジョー・バイデン大統領との非公式夕食会 10日: ホワイトハウスでの歓迎式典、バイデン大統領との日米首脳会談、共同記者会見、桜の苗木贈呈式、公式晩餐会 11日: マイク・ジョンソン連邦下院議長(共和党)との懇談、同上下院幹部との懇談、米国連邦議会上下両院合同会議で演説、ジョンソン下院議長主催レセプション、カマラ・ハリス副大統領及びアントニー・ブリンケン国務長官主催の午餐会、バイデン大統領、フェルディナンド・マルコス・フィリピン大統領との日米比首脳会談 12日: トヨタがノースカロライナ州に建設中の電気自動車(EV)向け電池工場、ホンダの新型ビジネスジェット機工場を視察 ---------- 故・安倍晋三元首相が、共和党のドナルド・トランプ前大統領とウマが合ったように、岸田首相は民主党のバイデン大統領とウマが合う。2020年9月の自民党総裁選に合わせて出版した『岸田ビジョン』(2020年、講談社刊)にも、ジョン・ケリー元国務長官を始めとする米民主党の面々との交流を記している。 1週間にわたる訪米のハイライトは、三つあった。一つ目が、バイデン大統領との日米首脳会談である。首脳会談後に行われた共同記者会見で、岸田首相は力強い口調で述べた。 「私たちは、国際社会が直面する様々な課題について意見を交わしました。まず私たちは、力又は威圧による一方的な現状変更の試みは、世界のいかなる場所であれ断じて許容できず、同盟国・同志国と連携し、引き続き毅然として対応していくことを確認しました。 そのような観点からも、中国をめぐる諸課題への対応に当たり、引き続き日米で緊密に連携していくことで一致しました。同時に、中国と対話を継続し、共通の課題については協力していくことの重要性を確認しました。 また、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促すとの考えを確認しました。(中略)法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋の実現も改めて確認し、明日予定する日米比首脳会談の場を含め、引き続き緊密に連携していくことで一致しました。 ロシアによるウクライナ侵略については、「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」との認識の下、日本が自らの問題として厳しい対露制裁と強力なウクライナ支援を継続していく決意を述べ、同志国との緊密な連携で一致しました」 このように、「中国問題めぐる諸課題」が、日米首脳会談の大きな議題となったことを示唆したのだった。