【2025年最新】定額減税への対応も!今年の確定申告で抑えておくべき3つの変更点を解説
いよいよ確定申告の季節がやってきた。今年の確定申告期間は、2月17日(月)~3月17日(月)まで。2024年分は定額減税が実施されたことで、いつもの確定申告とは手順が異なるので注意が必要だ。 では、2025(令和7)年に行う確定申告がどのように変更されたか、主に一般の人に関係がある以下3つの変更点を確認していこう。 1)確定申告書・第一表に「定額減税」の欄が追加 2)住宅ローン控除の拡充により第二表に「住宅」欄が追加 3)確定申告書等の控えへの収受印が廃止に ● 1)確定申告書・第一表に「定額減税」の欄が追加 2024年は、本人・同一生計配偶者・扶養親族(いずれも日本の居住者に限る)について、1人当たり所得税3万円(住民税1万円)を減税する定額減税が実施された。 確定申告書を提出する際は、確定申告書・第一表の「税金の計算」の「令和6年分特別税額控除」欄に、本人と定額減税を受ける同一生計配偶者+扶養親族の人数を記載し、人数✕3万円の所得税の定額減税の合計額を記載する必要がある(住民税の定額減税は2024年第1期分の税額から控除されているため、申請は不要)。 また、確定申告書・第二表の「配偶者や親族に関する事項」欄に、定額減税を受ける同一生計配偶者や扶養親族の氏名、マイナンバー(個人番号)、続柄、生年月日、「その他」欄に「2」を記載する必要がある。 なお、定額減税の対象となる方は、以下のとおり。 (1)本人 合計所得金額が1,805万円以下 ※給与収入のみの場合、給与収入が2,000万円以下(子ども・特別障害者などを有する者などの所得金額調整控除の適用を受ける方は、2,015万円以下) (2)同一生計配偶者、扶養親族 次の全ての要件に該当する配偶者、扶養親族 ・納税者本人と生計を一にしている ・合計所得金額が48万円以下(パートなど給与収入のみの場合は、給与収入が103万円以下。青色事業専従者給与受給者または白色事業専従者控除適用者は対象外) (注) ・所得税の扶養控除の対象とはならない16歳未満の扶養親族(年少扶養親族)も、定額減税の対象 ・納税者本人の合計所得金額が1,805万円超の場合、同一生計配偶者・扶養親族は定額減税の対象外 ● 2)住宅ローン控除の拡充により第二表に「住宅」欄が追加 2024年度税制改正により、19歳未満の扶養親族を有する子育て世帯と、夫婦のいずれかが40歳未満の若者夫婦世帯(特例対象個人)の住宅ローン減税が拡充された。 住宅ローン控除の借入限度額について、子育て世帯・若者夫婦世帯が2024年に入居する場合には、認定住宅:5,000万円、ZEH水準省エネ住宅:4,500万円、省エネ基準適合住宅:4,000万円とされた。 本人が特例対象個人に該当する場合で、配偶者が配偶者控除(または配偶者特別控除)の適用対象者でない、もしくは扶養親族が19歳未満で扶養控除の適用対象者でないときは、「配偶者や親族に関する事項」の「住宅」欄の「特個」にマルをつける必要がある。 ● 3)確定申告書等の控えへの収受印が廃止に 国税庁は、申告手続き等のオンライン化、事務処理の電子化など、国税に関する手続きや業務の在り方の抜本的な見直し(税務行政のDX)を進めている。 その取り組みの一環として、2025年1月から、確定申告書等の控えへの収受日付印の押なつを行わないこととした。 なお、当分の間、窓口で交付する「リーフレット」に申告書等を収受した「日付」や「税務署名」を記載したものを、希望者に交付することとしている(郵送等により申告書等を提出する場合は、切手を貼付した返信用封筒の同封が必要)。 これまでは、金融機関への融資申請ほか、コロナ禍で行われた持続化給付金の申請の際も、申告書を紙で提出している場合は、収受日付印のある申告書が原則必要とされていた。 国税庁は「金融機関や補助金・助成金などを担当する行政機関などに対して、今般の見直し内容について事前に説明を行い、『令和7年1月以降は、各種の事務において収受日付印の押なつされた申告書等の控えを求めない』ことを徹底いただくようにお願いしております。」としている。 ただし、金融機関等への周知に時間がかかることも予想される。そのため、これまで紙の確定申告書を提出していて、今後も収受日付印ありの申告書がほしい場合は、2025年の確定申告からは、電子申告に切り替えることを検討してもいいだろう。 ●給与等に反映されていても、定額減税の記入漏れには要注意 以上が2025年の確定申告の変更点だ。これらを踏まえ、申告を行う際に注意すべきポイントについて、笠井恭平税理士にアドバイスをいただいた。 「定額減税は、一部の方を除き、日本に居住する全ての方が適用対象となるため、確定申告書への記載漏れには注意が必要です。 特に、年末調整や予定納税ですでに定額減税額が控除されている場合であっても、確定申告書を提出する際は、第一表の「定額減税」欄の記載を忘れないようにしましょう。 また、確定申告書等の控えへの収受印の廃止により、今後は、申告者自身で控えの作成・保管や、提出年月日の記録・管理することが求められます。申告者は控えの保存を徹底し、提出日時をしっかり把握しておく必要があります。 e-Taxを利用して申告・申請を行えば、データ送信完了後に、申告者の氏名・受付番号・受付日時などが記載された受信通知がメッセージボックスに格納され、申告書等提出の証明として利用することができます。2025年の確定申告を機に、紙での申告等をやめ、e-Taxを利用して申告・申請されることをおすすめします。」 <参考> ・国税庁|令和6年分確定申告特集(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/) 【取材協力税理士】 笠井 恭平(かさい・きょうへい)税理士 富山県出身、神奈川県在住の30代若手税理士。新卒で国税組織に入り、10年にわたり調査業務や審理業務など幅広い経験を積む。その後、税理士法人に転職し、5年間国際税務を中心に実務に携わる。令和5年4月に税理士登録し、同年10月にPROS税務会計事務所を開業し独立。 個人事業主様を含む、中小企業者様や小規模企業者様を中心に、クラウドツールを活用して、経理・税務会計・人事労務などのバックオフィス業務のDX化+効率化を目指すことで、お客様が本業に専念できるようサポートしている。 その他経営や財務に関わるご支援など幅広くサポートすることで、お客様の一番身近な相談相手として、共に成長し、共に歩んでいくことをモットーとしている。FP1級、相続税法検定1級も保有。 事務所名 :PROS税務会計事務所
弁護士ドットコムニュース編集部