FW鈴木洸晴がハット達成!西武台、昌平を延長戦の末に下し決勝進出
令和5年度埼玉新人戦(新人選手権大会)第3日は2月17日、昌平高校グラウンドで準決勝が行われ、第1試合は西武台が昌平を3-2で下し、12度目の決勝に進んだ。2月18日の決勝(13時・埼玉スタジアム第2グラウンド)で2連覇を目指す武南と対戦することになった。 【フォトギャラリー】昌平 vs 西武台 2015年以来、7大会ぶり7度目の頂点を目指す西武台は、準決勝までの2試合とも1点差の持久戦を制してきた。今年度の高円宮杯プリンスリーグ関東2部で4位に入った主力が多数残り、この時期にしては爆発的な攻撃力を誇る。 立ち上がりは個人技に優れた昌平に押し込まれ、際どいシュートを浴びる場面もあったが、無失点で中盤戦に差し掛かった。 攻守が目まぐるしく入れ替わる展開が続いていた前半23分、西武台はMF泉谷俊(2年)のパスを預かったFW鈴木洸晴(2年)がマーカー1人をかわして先制点を蹴り込んだ。これで勢いづくかと思われたが、攻勢に出たのは昌平で、あっと言う間に2失点して逆転を許した。 28分のボランチ中松陽太(2年)の強烈なシュートに続き、32分のMF甲斐田裕大(2年)の決定打も相手GK松田聖也(2年)のビッグセーブに阻まれ、同点機を逃していた。しかし36分、MF岩谷勇仁(2年)が、軽やかなドリブルで持ち込んで同点ゴールを決めると、アディショナルタイムには中松のパスを受けた左SB佐藤公輝(2年)の左クロスを甲斐田が右足で合わせて勝ち越し点を奪った。 西武台の関根雄太コーチは逆転された前半について、「相手はセカンドチームだが、プレミアリーグに臨むトップチームのつもりでやろうと送り込みました。でも何人かの選手は戦えていなかった。鈴木(洸)みたいにもっと強気でやってほしかった」と、強いイメージばかりが染み込む“昌平”という響きに後手を踏んだことを課題に挙げた。 ハーフタイムの檄が効いたのか、後半開始1分にFW遠藤秀悟(2年)がいきなり強シュート。相手GK白根翼(2年)の好守に阻止されたが、4分には後半開始から出場したMF太田和希(1年)がバーをたたくヘディングシュートを放った。13分の鈴木洸の一撃も白根にセーブされたが、前半とは一変して前に出るアグレッシブな姿勢を示した。 そうして26分、遠藤の右クロスを右足ボレーで捕らえた鈴木洸が同点弾をたたき込み、2-2で延長戦に突入する。 20年以来、2大会ぶり6度目の優勝を狙った昌平はここまでの2試合で4校中最多の10点を挙げて勝ち上がってきたが、失点も最多の4。新年度の高円宮杯プレミアリーグEASTに臨む陣容ではなく、県S1リーグを戦うセカンドチームが出場。鈴木琢朗監督は「後半は運動量が落ち、相手の力強さと圧力に負けた。自分たちの時間でない時に巻き返せませんでした」と敗因を述べた。 延長前半はともに無得点で終了し、後半2分に美しい崩しの形から決勝点が生まれた。ボランチ石井汰一(2年)の左クロスを主将のCB谷口輝(2年)がヘッドで折り返すと、鈴木洸がこのボールを押し込んでハットトリックを完成させた。 聖望学園との準々決勝でも決勝点を挙げた鈴木洸は、準決勝は自らのゴールでチームを勝たせたいと話していたが、この言葉通りになった。「絶対に自分が決めてやろうと思って戦いましたが、いいパスを出してくれたから3点取れただけで、ほぼ自分の得点じゃない。みんなのゴールです」とエースは謙虚に語り、喜びの表情もささやかだ。
守屋保監督はチームへの献身度の高さをこんなふうに説明する。 「だらしのないプレーをしたチームメートをきちんといさめてくれるんです。“そこでやんないと勝てないぞ”“もっと強度を高めてやんなきゃ”って具合です」 公式戦初のハットトリックについても「うれしかった」とひと言。関根コーチが「今、竹内(奏海=2年)と遠藤が振れていないんですよ」と大黒柱の両FWの不振に言及したが、「あいつらが粘って頑張ってくれるから、自分のゴールが生まれる」。ピッチでは闘将の顔を見せるが、ピッチを離れると豊かな人間性の高校生に変わる。 (文・写真=河野正)