児童扶養手当はひとり親が対象ですが、内縁関係や偽装離婚の人ももらっていると聞きます。これっていいのでしょうか?
児童扶養手当は、ひとり親家庭などを対象に手当を支給しますが、なかには内縁関係や偽装離婚をしている人が請求するケースもあるとのことです。 児童扶養手当は、支給要件や支給対象者が定められており、該当しない場合は受け取れません。虚偽申告をして不正受給をした場合は、返還や罰金の支払いが必要となるため、絶対にしないようにしてください。 本記事では、児童扶養手当の制度概要、虚偽申告を行った際の罰則などについて解説します。
児童扶養手当とは?
児童扶養手当とは、ひとり親家庭などに対して手当を支給する制度です。都道府県や市、福祉事務所設置町村を主体に実施しており、ひとり親家庭などの生活安定と自立促進、子どもの福祉の増進を図ることを目的としています。 手当の支給対象になるのは、父母が婚姻を解消している児童、父母が死亡している児童を養育する者で、父母に代わって児童を養育する祖父母なども含まれます。 ■支給要件と対象者 児童扶養手当の支給要件と対象者は、図表1のとおりです。 【図表1】
※東京都福祉局「児童扶養手当」より筆者作成 ひとり親家庭になった理由が離婚以外でも、児童扶養手当の支給対象に含まれます。児童扶養手当の支給額は、図表2のとおりで、請求者および請求者と同一生計の扶養義務者などの前年所得に応じて決まります。 【図表2】
※東京都福祉局「児童扶養手当」より筆者作成 全部支給になるか一部支給になるのかは、図表3を参考にしてください。 【図表3】
※東京都福祉局「児童扶養手当」より筆者作成
内縁関係や偽装離婚の状態でも児童扶養手当をもらえる?
内縁関係や偽装離婚の状態で、18歳に達する日以降の最初の3月31日までにある児童を養育している場合、児童扶養手当の支給対象に含まれません。各自治体のホームページでも児童扶養手当の支給制限について「児童が父または母の配偶者(事実上の配偶者を含む)に養育されているとき」と記載しています。 また、内縁関係や偽装離婚の状態にある以外にも、以下に該当する場合は児童扶養手当の支給制限を受けるため注意が必要です。 ・児童または受給資格者本人が日本国内に住所を有していない ・児童が児童福祉施設などに入所している ・児童が里親に委託されている ・児童が父および母と生計を同一にしている(父または母が政令で定める重度障害の状態にある場合を除く) ■不正受給には手当の返還や罰則がある 内縁関係や偽装離婚の状態で児童扶養手当を受け取ることは、不正受給と見なされます。虚偽の申告を行って児童扶養手当の支給を受けた場合、支払った手当の返還、児童扶養手当法35条に基づき、3年以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられることがあるため、注意が必要です。