慈善家の資金、「略奪的」業者に流れる-プライベートクレジット経由
(ブルームバーグ): 2人はウォール街で対極に位置する人物だ。デービッド・グラス氏はボイラールーム詐欺(詐欺師が知らない人に突然電話をして株を売りつける)を描いた映画「マネー・ゲーム」に影響を与え、インサイダー取引事件では盗聴器を身につけることで服役を免れ、その後自らボイラールーム(もぐり業者のオフィス)を始めた。
同氏の会社は、10年間で10億ドル(約1550億円)以上の違法な利息を集め、中小企業から産業規模で金をむしり取ったとして告発されている。
レオン・クーパーマン氏はゴールドマン・サックス・グループの幹部となり、その後ヘッジファンドを設立して億万長者になった。著名な慈善家でもあり、ニュージャージー州とフロリダ州の病院の建物には同氏の名前がある。同氏は自らを「心ある資本家」と呼んでいる。
2人が知り合いであることを示すものはない。しかし、両氏はウォール街のホットな一角であるプライベートクレジット市場を通じてつながっている。
より高い利回りを求めて裕福な個人や機関投資家が、銀行システム外で行われる融資に資金を出している。これらの投資家が知ってか知らずか、その資金の一部は、最も絶望的な人々を食い物にするビジネスに流れている。
クーパーマン氏の場合、同氏の財団はかつての部下が経営するプライベートクレジット会社、ベースポイント・キャピタルに1億ドル以上を投資している。ベースポイントはその資金の一部を、デルタ・ブリッジ・ファンディングというニュージャージー州の金融業者に貸し付けた。
ニューヨーク州司法長官のオフィスによれば、デルタ・ブリッジはグラス氏のボイラールームの最新版であり「大規模な略奪的貸金業者」だ。
年利820%
ニューヨーク州のジェームズ司法長官が先月、年利820%という高金利での違法融資の疑いで、デルタ・ブリッジなどに対して14億ドルを求める訴訟を起こし、その関係が明らかになった。ベースポイントは不正行為で訴えられてはおらず、クーパーマン氏も言及されていない。