女子フィットネスの歴史を変える世界V。大谷美咲が振り返る2023年、フェア競技の先に見据えるものとは
――大谷選手がナチュラルなボディメイクで、アンチドーピングを掲げるJBBFの大会に出場し続けるのは、フェアな競技へのポリシーや原点となる経験があるのでしょうか。 「もともと、私が小さい頃に一番あこがれたのがオリンピック選手だったんです。スポーツが好きだったので、フェアやアンチドーピングというのは自分の中では当たり前だと思っています。なので、アンチドーピングを徹底しているJBBFが好きですね。理想の体がオリンピアの選手と言っても、あそこまでのサイズ感をナチュラルで出すのは厳しいのは正直わかっています。ただ、大きさと言うよりも全身のバランスなど、そういった面では理想を追求できると思っています」 ――国内ではグランド・チャンピオンシップスを3連覇されました。これからはより追われる立場になると思いますが、その点についてはいかがですか。 「いきなり追われる立場になって、正直なところプレッシャーは毎年かなりあります。ただ、自分の理想とする肉体を追求するという面でやることは変わりません。今年はIFBB世界選手権が日本で開催されるということもあるので、日本をアピールするチャンスに少しでも貢献できればと思っています。ボディフィットネスを人気競技にするという目標も含めて、自分の目指すところに向かっていきたいと思います」
大谷美咲(おおたに・みさき) 1987年9月7日生まれ、新潟県出身。2017年に競技と出会い、当初はビキニフィットネスに出場。2021年からは女子フィジークとビキニの中間ほどの筋量が求められ、鍛え上げられた体のトータルパッケージが争われるボディフィットネスに転向した。転向後は2023年までJBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)主催の、『オールジャパン・フィットネスチャンピオンシップス(国内身長別)』と『フィットネス・ジャパン・グランドチャンピオンシップス』を3連覇。2023年には世界最高峰であるIFBB世界選手権でボディフィットネスカテゴリーの3冠を達成し、同大会での女子競技において史上初の日本人女性優勝者となった。
取材・文/森本雄大 写真/木村雄大