唯一無二の男女コンビのYouTubeが話題 シンクロニシティの“絶妙”な空気感を味わおう
『M-1グランプリ2022』でフリーながら準決勝に進出し、2023年から吉本興業に所属した男女コンビ・シンクロニシティをご存知だろうか。 【写真】シンクロニシティが発表した、相方のいいところランキング メンバーはボケのよしおかとツッコミの西野諒太郎。ボソボソと小さい声で狂気的な言動をするよしおかに、西野が翻弄されながらも的確にツッコんでいくのが基本的なスタイルだ。中央大学の落語研究会で出会ったという2人の漫才は言葉の異口同音に焦点を当てたネタが多く、文字で読んでも面白いと思えるほどに完成度が高い。起承転結の流れも美しく、最後の1秒まで聞き逃せない。 よしおかの出てきただけで「なにかある」と感じさせる雰囲気は唯一無二だ。彼女が言葉を発するだけで観客をグッとシンクロニシティの世界観に引き込む求心力があり、短いボケのネタでも一撃の破壊力が何倍にも増していく。そこに西野のよしおかのボケを更に増幅させるように言葉を何回も繰り返す独特なリズムのツッコミが心地良く、いつまでも聴いていたいと思わせられてしまう。 前述した『M-1グランプリ2022』敗者復活戦で披露された漫才「五十音」は「い」と「え」と「は」の三音だけで会話できるとよしおかが豪語するネタなのだが、序盤で「制限」を提示することで、一瞬で観客にシステムを理解させ、最後までそのルールに則った上で観客の予想を裏切って笑いに変えていくという、言葉の持つ面白さを存分に堪能できる老若男女だれもが楽しめる素晴らしい漫才だ。 特に衝撃を受けたネタは「10回クイズ」。西野が「10回クイズやりませんか」と切り出すのだが「10回クイズなんてやってる時間がこの世で一番無駄」と、一切の提案を拒否するよしおか。このまま話は平行線を辿ると思った次の瞬間、なぜか西野がよしおかの出した10回クイズに答えてしまっているというもの。全く予想だにしない角度からのカウンター。そして西野の「なにが起こりました?」というツッコミの素晴らしさ。近年見た漫才のなかでもトップクラスに好きなネタだった。 1年前に開設された公式YouTubeチャンネル「これはシンクロニシティのチャンネルです」ではネタ動画だけでなく、さまざまな動画をアップしている。お笑いに関する動画だけでなく、互いの過去の職歴について詳しく話したり、好きな食べ物や趣味の話をしたり、ときにはハロウィンパーティーでコスプレをしたりと、漫才だけでは掴みきれなかった2人の人となりを知ることができる。 そんなシンクロニシティのネタ以外の魅力は、2人の「コンビ仲」にあると思っている。このチャンネルのファンにはおなじみの挨拶となってるよしおか「これはこれはシンクロニシティのチャンネルですをご覧の皆さん、こんにちは。シンクロニシティのよしおかです」西野「DAMチャンネルをご覧の皆さんみたいに言ってますけど」というくだりからも2人の絶妙な関係性が伺える。 お互いの良いところを言い合う企画では、西野が思うよしおかの良いところは「ネタ覚えが早い」「感謝をすごいする」「大舞台でも動じない」と真っ直ぐに良いところを言っているのに対し、よしおかは「お笑いが詳しい」「野球が詳しい」「車を持っている」と“事実”だけを挙げるなど一見すると差があるように思えるのだが、2人の会話のテンポやトーンから確かな信頼関係を感じることができる。このように、仲が良いのか悪いのか分からない、付かず離れずの絶妙な距離感を保っている関係性が本当に面白い。 近年、確実に賞レースの決勝に顔を並べるであろうシンクロニシティ。大舞台で彼らの漫才を見られることを心から願ってる。
かんそう