【MLB】 成功の可能性は「あやふや」 前進するアスレチックスの移転計画には暗雲も
日本時間16日の深夜、MLBのオーナー会議でアスレチックスのラスベガス移転案が満場一致で可決された、と各メディアが報じた。 【MLB】アスレチックスのラスベガス移転が正式決定 オーナー会議で全会一致の承認 もともとオーナー会議で可決されることは想定内であり、移転実現のためには未だいくつかのハードルが残されているが、60年近い歴史を持つオークランド・アスレチックスはまた一歩終焉へと近づくことになった。 アスレチックスは20年近い期間、新球場問題に頭を悩まされており、本拠地オークランド・コロシアムは老朽化が進む一方だった。また、ノンフィクション小説・映画でも知られるように、21世紀のアスレチックスは低予算球団ながら健闘していたが、安定しない経営に客足は遠のいていた。 ラスベガスに新球場を建てられれば、客足は戻り、収入が改善し、貧乏球団から脱却できる。という青写真を描くのは、いささか楽観的すぎるかもしれない。 『ジ・アスレチック』のエバン・ドレリッチ記者によれば、オーナー会議前に全オーナーに渡されたラスベガス移転に関する報告書は、移転成功の可能性に疑問を呈するものだった。 報告書の説明を受けたドレリッチの情報筋曰く、アスレチックスがラスベガスで成功する可能性は「あやふや」なものだという。ラスベガスへの移転について、その計画性の欠如を指摘する声は後を絶たない。
ずさんさが否めない新球場計画
まず指摘されるのがラスベガスという市場の小ささだ。現在のオークランドを含むベイエリアはビッグマーケットとして知られている反面、ラスベガスはメジャーの全本拠の中で最小のメディア市場しか持たない。そのため、メジャーリーグのチームにとって大きな収入源である、放映権からの収入は最小限のものになると予想される。 そして、それもあってラスベガスにおける新球場計画は、観光業が大きな比重を占め、ラスベガスに訪れる観光客をいかに呼び込めるかが焦点となってくる。しかし、現在発表されている計画では、新球場の収容人数はわずか33000人と言われている(現在のメジャー全本拠地の中での最小キャパシティを2000下回る)。 さらにひどいことに、『ESPN』によればアスレチックスは当初、ネバダ州議会に30000人収容のスタジアムとして計画を売り込んでいた。州の一般財源に手を付けないためには年間250万人の動員が必要だが、1シーズンに行われる81試合のホームゲームで完売を記録しても年間243万人にしかならないということを指摘されると、アスレチックスは慌てて計画を修正した。 アスレチックスの新球場計画は、未だに公式のデザインも建築家も発表されておらず、また灼熱のラスベガスの暑さをしのぐための屋根やドーム設備は今のところ含まれてもいない。