WBC5連勝の侍ジャパンにまだ残る最悪のシナリオ
また第1回WBC優勝メンバーの里崎智也氏が指摘するのは投手規定についてである。 「連投した投手は、中1日空けなければならないルールがあるので、もしキューバ戦で使った平野、増井、秋吉、松井、牧田らをイスラエル戦で続けて使い、失点率でアウトとなる点差以上を取られて負けてプレーオフとなった場合、もう彼らは連投したので、勝負のプレーオフでは使えなくなるのです。最悪なのは、イスラエル戦で勝利の方程式を使って、終盤に逆転されることです。そこまでの危機管理をしてイスラエル戦は戦う必要があるでしょう。そうなると展開次第で投手起用には細心の注意を払う必要が出てきます」 WBCには「30球以上、あるいは2試合続けて投げた場合、中1日を空けねばならない」というルールがあるため、もし今日のイスラエル戦に、キューバ戦で使った「勝利の方程式投手」を続けて使って敗れ、プレーオフに回ることになった場合、その試合で彼らが使えなくなるのである。そう考えると、この日のキューバ戦でも、3点差がついた時点で、ストッパーの牧田ではなく他投手で乗り切り、最悪の場合を想定して、イスラエル戦まで牧田を温存しておく必要もあったのかもしれない。 イスラエルは、ここまで5試合の平均得点が「5.4点」。これも1次ラウンドでの台湾戦での15得点があって平均得点が引きあがっているもので、どちらかというと「投高打低」のチーム。5年前にメッツで32本塁打を放ったマイク・デービスなど、メジャー経験のあるマイナーリーガーが揃っていて「第二のアメリカチーム」とも揶揄されるが、日本の投手陣が5失点以上することは考えにくい。ただ、あの菅野が、この日キューバに7安打を浴び4失点するとは誰もが想像できなかっただろう。 そのイスラエル戦には、千賀が予告先発され、イスラエルはここまでストッパー起用してきたゼイドを先発にもってきた。1次ラウンドのオランダ戦では、1イニング交代の投手9人起用の奇策で、強力打線を不発に終わらせ、バレンティンも「コロコロ投手を代えられたことで戸惑った」と語っていた。日本戦にも、同じような9人継投の奇策を再び使ってくるのかもしれない。 小久保監督は「得失点差を考えずに勝てばロス(決勝ラウンドは米国ロスアンゼルスのドジャースタジアムで開催)に行けるので勝ちに行きます」と決意表明した。 5失点以上で負けるという「最悪シナリオ」など、笑って吹き飛ばす無傷の6連勝でアメリカでの決勝ラウンドへ乗り込みたいものだが……。