本格アイドルからトレーナーへ転身「元の肩書きを使うのは31歳まで」【佐久間編集長のパーソナルトレーナー百人斬られ(仮)Vol.39 Ran(Update)前編】
フィットネス業界一本で生きていくと決めたRanさんは、大手フィットネスクラブでの勤務と並行して、パーソナルジムとも契約し、パーソナル指導を学び、NSCA-CPT資格を取得。8時~16時まではフィットネスクラブで働き、17時半~23時半まではパーソナルジムで働くというハードな日々を送りながら、パーソナルトレーナーとしての経験を積んでいきます。そして2022年に自身のジム「Update」を立ち上げました。 「人生を逆算して考えたときに、このタイミングだなと思って27歳のときにジムをオープンしました。新しくジムを始めるなら興味を持ってもらえるように、“元アイドル”という肩書きを使えるタイミング、なるべく早いほうがいいと考えたんです。“元アイドルがやっているのは面白そうだな”という感じで、フィットネに興味を持ったり、トレーニングを始めるきっかけになったりしてくれたら嬉しいと思っています」 “元アイドル”という肩書きは、トレーナーとして他者にはない自分の個性であり、武器となる一方で、「アイドルだから本格的ではない」とマイナスに受け取られる恐れもありました。Ranさんはマイナスな声に負けないため、「Update」の名の通り、自身をアップデートさせることを忘れません。NSCA-CPTの資格に加え、今年1月には栄養コンシェルジュ2ッ星の資格を取得しました。 「元アイドルという肩書きはプラスの面があるんですけど、悪く言うとフィットネス業界では下に見られるようなところもあります。何もできないと思われるのは悔しいので、いろいろな武器がほしいと思って資格をとりました」 武器となる“元アイドル”の肩書きを使うのは「31歳まで」というRanさん。その理由は肩書きに甘えず、トレーナーとして成長していきたいという思いがあるからだと言います。そんな彼女がパーソナル指導をするうえで大事にしていることは「初心を忘れないこと」です。 「自分が初めてトレーニングをしたときの気持ち、トレーナーとして初めてセッションしたときの気持ちは忘れないように心がけています。初めてパーソナルを受けるお客様はワクワクと同時に不安な気持ちもあると思うので、常にお客様の目線に立って接することを心掛けています」 初心に加えて、もう一つRanさんが大事にしているのは「人と比べない」こと。前述のようにアイドル時代は選抜メンバーを決める人気投票があり、常に人と比べられてきました。そうしたなかでたどり着いたのが、比べるべきは他人ではなく、過去の自分だということ。それをお客様に伝えていくことを大事にしています。 「アイドル時代は毎月ランキングが出されて、当時はすごく気にしていたと思います。でもあるときから、誰かと比べるよりも、過去の自分と比べて成長していればいいかなと思うようになったんです。SNSの普及によって良くも悪くも周りの人と比べてしまう人が増えていると思います。でもトレーニングは人と比べるものではないので、お客様には自分のペースでアップデートしていきましょうと伝えています」 ジム創設から2年。もっともっと「Update」を大きなものしていきたいと考えるRanさんには壮大な目標があると言います。 「究極のことを言うと、日本のフィットネス人口を一人でも多くしたいんです。元アイドル、女性トレーナーとして、多くの人のフィットネスの入口になれるようなトレーナーになれたいいなって思います」 多くの人にとって“フィットネスの入口”になるためには、自身の知名度アップ、トレーナーとしての力量アップは不可欠。Ranさんは究極の目標に向けて、これからも自身をアップデートさせる日々を続けていきます。 【トレーナーPROFILE】 Ran(らん) 神奈川県出身。高校時代からアイドルとして活動する。26歳でアイドルを卒業し、元々興味のあったフィットネス業界に転身。大手フィットネスクラブでインストラクターを務めたのち、2020年に「パーソナルジム Update」を設立した。 〔保有資格〕 NSCA-CPT/栄養コンシェルジュ2ッ星 佐久間一彦(さくま・かずひこ) 1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、高校日本代表選出、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアン、パラリンピアンの取材を手がける。