「俺が出るまで待っとけよ」東名あおり運転男の暴言はまだ序の口だった…過去には刺身包丁で刺されたり、拳銃で脅された裁判官も【凶暴過ぎる被告列伝】
「俺は平清盛の末裔だぞ!」
石橋、野村、田上の各被告による暴言は常軌を逸している──呆れ、怒りを覚える人は多いに違いない。だが実のところ、裁判官に捨て台詞を吐く被告は極めて珍しい──というわけではないのだ。 2017年3月、祈祷師を自称する男性被告の初公判が宇都宮地裁で開かれた。被告は「龍神」を名乗り、難病を治す力を持つと公言。1型糖尿病だった小学2年生の男児の母親から相談を受けると、インスリン投与を中止させて男児を衰弱死させたとして逮捕され、殺人罪などで起訴されていた。 「初公判で被告は入廷すると、『始まる前にちょっと』と発言しました。当然ながら裁判長が制止しました。続いて裁判員が入廷すると、再び『開廷前に一言』と発言。同じように裁判長が制止すると、『あなたは罷免だ! 冤罪だ!』と叫んだのです。その後も不規則発言を続けたため、退廷を命じられました。刑務官が近藤被告を連れ出そうとすると、『八百長裁判長!』と叫び続けたのです。『俺は平清盛の末裔だぞ!』と叫んだと報じたメディアもありました」(同・記者)
「殺してやるよ」
制裁裁判という法律用語をご存知の方は少ないだろう。暴言や暴行などで裁判所の職務執行を妨害した際に開かれる裁判で、法曹関係者の間では実施例が少ないことでも知られている。その対象となるのは、大半が被告か傍聴人という。 「2013年3月19日、京都地裁で制裁裁判が開かれました。麻薬特例法違反などに問われたイラン人被告の初公判が地裁で開かれたのですが、被告は裁判長などに向かって『ここで潰してやるよ。殺してやるよ』と脅迫したのです。そのため制裁裁判が開かれ、監置5日が決定しました。監置とは監置場に収容される罰を指します。同じ日に麻薬特例法違反罪の判決公判も開かれ、懲役10年、罰金500万円、追徴金1657万円の実刑判決が被告に言い渡されました」(同・記者) 04年9月には水戸地裁下妻支部で制裁裁判が開かれた。万引きの事後強盗罪で懲役5年を求刑された男性被告が裁判官に「早くしろよこの野郎」と怒鳴り、証言台を蹴って倒した。この行為に対し、監置15日が決定した。 「証言台ではなく、長机をひっくり返して制裁裁判が開かれたこともあります。08年3月、土浦連続通り魔事件が発生しました。当時、24歳だった被告が茨城県土浦市で2人を殺し、7人を負傷させました。09年7月、水戸地裁で開かれた第5回公判の終了直後、被告は突然、被告人席の前にあったスチール製の長机をひっくり返したのです。ただちに制裁裁判が開かれ、監置10日が決まりました」(同・記者)