「自由が何もなかった」原告の男性 初めて出廷し会見で思い語る 恵庭市遠藤牧場訴訟
HTB北海道ニュース
恵庭市の牧場で障害者3人が障害年金を横領されたなどとして牧場などを訴えている裁判。19日に6回目の口頭弁論が行われ、原告の男性が初めて出廷し会見で思いを語りました。 遠藤牧場で働いていた男性) 「みんなに知ってほしいから顔を出したんです」。 報道陣の取材に顔を出して応じることを決めた原告の男性。裁判開始からまもなく1年、男性は18日に初めて傍聴席ではなく当事者席に座って裁判に参加しました。 遠藤牧場で働いていた男性) (あの20年はどういう時間だった?) 「あまりいい時間じゃなかった」。 中度の知的障害がある60代の男性。現在はグループホームの支援を受けながら1人で暮らしていますが、2年ほど前まで恵庭市にある遠藤牧場で働いていました。そこは劣悪な労働環境だったといいます。プレハブ小屋や平屋に男性を含む知的障害のある3人が住み込みで働いていましたが、休みもなく給料もありませんでした。 3人は牧場側に5000万円以上の障害年金を横領され恵庭市に隠ぺいされたなどとして去年8月、牧場と市を相手取り裁判を起こしました。18日に行われた6回目の口頭弁論。 遠藤牧場の関係者は「いわば里親」だとする市側の主張に対し、原告側はこれを否定したうえで「労働をしなければ追い出されてしまうという黙示の脅迫や精神の自由を不当に拘束する手段のもとで、ひどい環境での労働を強制させられた」などと主張しました。 裁判後に行われた報告集会。男性はおよそ20年に及ぶ遠藤牧場での生活をこう振り返りました。 遠藤牧場で働いていた男性) 「(牧場で)一番つらかったのは自由が何もなかった。自分で買い物に行くことはできなかったんですね」、「やっぱりみんなの前でそういう悪いことしてほしくなくて前に出ました」、「恵庭市にはちゃんと正直に言ってほしいです」、「遠藤さんにも(主張を)訴えたいと思っていますけど正直に言ってほしいです」。 原告弁護団中島哲弁護士) 「きっちりご本人が自分が伝えたいんだという思いを皆さんの前に出てきて言っていただける。そこに対してすごい感激もしていますし、これからも一緒に頑張っていきたい」。 次回の裁判は来年2月21日に開かれます。
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