乃木坂46は5期生がグループの主軸に? アンダーセンター・奥田いろはが抱える特別な思い
乃木坂46が8月21日にリリースした36thシングル『チートデイ』からアンダー曲「落とし物」のMVが公開された。 【写真】奥田いろは、美しい横顔 5期生の井上和がセンターを務める表題曲「チートデイ」に対して、アンダー曲「落とし物」でセンターを務めるのが同期の奥田いろはだ。表題とアンダーの両楽曲を5期生がセンターを務めていることは、すでに5期生がグループの中心を担っていることを実感させられる。これまで全楽曲を通して初めてセンターを務めることになる奥田は、これまで32ndシングル『人は夢を二度見る』に収録されているアンダー曲「さざ波は戻らない」で初めてアンダー曲に参加してから、最後列から先輩たちが積み上げてきたアンダーの歴史を肌で感じてきた。 奥田は乃木坂46加入時から高く評価されてきた歌唱力を武器に活躍してきたメンバーだ。5期生の冠番組『超・乃木坂スター誕生!』(日本テレビ系)シリーズでは、五百城茉央とのユニット・カフェオーレでオリジナルソング「star.」を作詞作曲したり、YouTubeチャンネル『乃木坂配信中』では「いろはの路上ライブ」と題したストリートライブで透き通った歌声を聴かせたりと、乃木坂46を代表するボーカリストとしての才能の片鱗を見せている。筆者が特に印象に残っているのは、『11th YEAR BIRTHDAY LIVE』で奥田が憧れている北野日奈子がセンターを務めていた「日常」をセンターで披露したときのこと。アンダー楽曲の中でも特別な思いをもって歌われる同曲で、奥田は髪を乱しながら感情を爆発させたパフォーマンスを見せており、彼女にも北野の魂が受け継がれているのだと嬉しくなった。今年5月より新国立劇場中劇場で上演されたミュージカル『ロミオ&ジュリエット』ではかつて生田絵梨花が乃木坂46在籍時代に演じていたジュリエット役を引き受けており、さまざまな面で生田、久保史緒里、林瑠奈らの系譜を受け継いでいるメンバーだと感じられる。 そんな奥田のボーカリスト/俳優としての個性が発揮されているのが「落とし物」のMVだ。同曲は欅坂46「サイレントマジョリティー」「不協和音」でも知られる作曲家ユニット・バグベアが担当。爽やかな曲調で乃木坂46の新たな夏ソングとして期待されている表題曲「チートデイ」とは対照的に、同曲は壮大なイントロに始まり、全体的にエレガントな世界観に仕上がっている。まさに歌声とダンスで見せるアンダー曲といった印象だ。松永侑(MAZRI Inc.)が監督を務めたMVは白と黒のシックなコーデに身を包んだメンバーたちのリップシーンとダンスシーンで構成されており、メンバーのアンニュイな表情がこれでもかと詰め込まれている。 特筆すべきはやはりAメロの冒頭でソロパートを任されている奥田の歌声である。歌が上手いというのはもちろん、特に高音域の綺麗な伸びはさすがミュージカル経験者といったところだ。奥田といえば、天真爛漫で明るいキャラクターのイメージがあるが、本作ではクールな表情で“かっこいい”奥田いろはを体現している。奥田を両隣から支える林と黒見明香、2列目から存在感を見せる松尾美佑、向井葉月、伊藤理々杏、柴田柚菜、3列目の吉田綾乃クリスティー、岡本姫奈、佐藤璃果、佐藤楓、矢久保美緒、中村麗乃とアンダーメンバーとしても実績を積み上げてきたメンバーが揃っており、MVで見せるフォーメーションダンスの息のあったパフォーマンスが見どころだ。中でも筆者が目を引かれたのが向井の表情とダンス。長くアンダーを経験してきたからこそ、いい意味で向井の中にはアンダーとしての覚悟がある。今のアンダーメンバーは1期生、2期生から受け継いできた3期生がアンダーを牽引する形になっているが、向井に限らず3期生からは自信すら感じられて、頼もしい。