「莉の対」ロッテルダム映画祭で最優秀作品賞を受賞、テアトル新宿での上映決定
俳優・田中稔彦が初監督を務めた「莉の対(れいのつい)」が、第53回ロッテルダム国際映画祭でタイガーコンペティション部門の最優秀作品賞(タイガー・アワード)を受賞した。 【動画】受賞時の様子はこちら 東京と北海道を舞台とする本作は、自分の存在の希薄さを感じながら生きている光莉と、失聴者である風景写真家・真斗の物語。彼らを取り巻く周囲との関係性や人間の脆さと弱さが、自然の美しさと対を成すように描かれる。鈴木タカラ、大山真絵子、森山祥伍、池田彰夫、勝又啓太、田野真悠、菅野はな、内田竜次、築山万有美が出演した。 本映画祭でワールドプレミア上映を果たし、全3回の一般上映はすべて完売となった本作。日本の作品では史上初となる単独受賞を果たした。審査員のマルコ・ミュラーは田中について「彼の強みは俳優を中心とし、ともに作品を作り上げる環境を築き上げたこと。また、ストーリーを観客に伝えるための細心の注意力。そしておそらくもっとも重要な点として、さまざまなロケーションの魅力が徐々に発揮されていく中、全体の構造の中で、本来は自然の力にのまれるはずの演技に、自然な役割を果たさせている彼のセンスが挙げられます」とコメント。「人は常に外の世界の脅威に脅かされているという示唆で、作品はエンディングを迎えます。それでも、人はともに生きていくことを選ぶかもしれない」と続けた。 「莉の対」は5月31日より東京・テアトル新宿で1週間限定上映。全国で順次公開される。