虎の4番・大山がFA宣言 宿敵巨人へ移籍ならば初代ミスタータイガースは何を思う 鬼筆のスポ魂
■阪神→巨人なら史上初
大山は白鷗大からドラフト1位で2017年に入団。8シーズンで977試合に出場し、2割6分8厘、137本塁打、551打点の成績を残している。チームが18年ぶりのリーグ優勝、38年ぶり2度目の日本一に輝いた昨季は全試合で4番を務めた。
大山もまた、藤村さんらと同じく、巨人に牙をむいてきた虎の4番だった。もし、大山が巨人に移籍すれば、阪神からのFA移籍は史上初となる。しかも、それが4番打者。虎は打線の中心を、覇権を争うライバルで伝統的にも負けられない相手に手渡すわけだ。
「自分が納得した決断ができれば。どのタイミング(時期)になるか、まだわからない」と大山は悩める胸中を吐露した。阪神は宣言残留を容認しており、引き返す道は残されている。しかし、悩んだ末にFA宣言した時点で、移籍へのフェーズは進んでいるように思える。
藤村さんが1992年に亡くなってから32年の歳月が流れた。虎の4番が巨人に移籍するならば、初代ミスタータイガースは遠い空のかなたで何を思う。阪神球団はいま、90年の歴史で培った大事なものを喪失する危機に直面しているのかもしれない。
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【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) サンケイスポーツ運動部記者として阪神を中心に取材。運動部長、編集局長、サンスポ代表補佐兼特別記者、産経新聞特別記者を経て特別客員記者。岡田彰布氏の15年ぶり阪神監督復帰をはじめ、阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。