イランへの攻撃は十分だったのか-沈黙守るイスラエル、国内では議論
(ブルームバーグ): イスラエルはイランに対する19日の報復攻撃について、これまでのところ公式には沈黙を守っている。しかし、イスラエルのアナリストや当局者の間では、今回の攻撃の規模が強さの表れなのか、それとも弱さの表れなのかを巡り議論が行われている。
イラン第3の都市イスファハンを標的にした攻撃が行われたとの報道から程なく、かつてイスラエルの国家安全保障担当高官を務めていたエヤル・フラタ氏は「イランがわれわれに攻撃を仕掛ける時には以下の点を理解しておかなくてはならない。イスラエルにはいつでも攻撃する能力があり、深刻な打撃を与えることが可能だということだ」と軍のラジオで発言。「われわれには高い能力を持つ空軍があり、米国もわれわれの味方だ」と語った。
イラン、イスラエルによる無人機攻撃確認-試みは失敗とも主張
「弱い」。X(旧ツイッター)でこうつぶやいたのは、ネタニヤフ政権で国家治安相を務める強硬派のイタマル・ベングビル氏だ。同氏は約1週間前にイスラエルがイランからの直接攻撃を受けて以降、徹底的な報復を要求してきた。
イスファハンには軍事基地や施設が複数あり、イランが13日にイスラエルを攻撃した際の発射地点の一つがあったと考えられている。
米当局者2人は、イスラエルがイランに対する報復攻撃に踏み切ったと認めた。イスラエル当局者によると、同国政府は高官や大使館に対し、今回の攻撃については確認も議論もしないよう指示。こうした対応はほぼ従来通りだという。イランの国営メディアはイスラエルによる無人機での攻撃を確認したが、作戦は失敗し、被害はなかったとしている。
イスラエルのアナリストの多くは、先週末のイランによるミサイル・無人機攻撃の大半を撃退できたことの重要性を強調しており、イスラエルの対応は意図的に抑制されたものだったとみている。
対外情報機関モサドの元高官、シマ・シャイン氏は同国テレビ局に対し、今回の攻撃は限定的ではあるものの、イスラエルに何ができるかを示すものだと語った。