え? TikTok米事業、アメリカに買われちゃうの? 買える人いるの?
でも上院の壁は厚い
ただ、この後には上院を通過しなければなりなせん。こちらの与党・民主党のトップを務めるチャック・シューマー院内総務は「採決にかけるべきかどうかもわからない」という慎重姿勢だし、下院より反対意見ははるかに多いとされます。
大統領の壁も厚い
さらに今年はうるう年で大統領選挙の年でもあります。人気アプリいじめで若年層からの支持を失いたくないのは与党も野党も同じ。現職のときあれだけTikTokバンを叫んでいたトランプ氏まで手のひら返したように禁止に反対しています。「議会を通過したら署名する」とバイデン大統領は約束していますが、今はそうならないように動くほうが与党にとって得策との計算がはたらく可能性もあります。
司法判断の壁はもっと厚い
仮に上院可決→大統領署名を経て法案が成立したとしても、TikTokは裁判所で違法性を争う構えですので、それでまた政府と何年も法廷バトル。司法判断が下るまで、TikTok米国事業売却/禁止の件は棚上げとなりますしね…。
それでもTikTokを買いたい富豪は山ほどいる
そんなTikTok横取り法案ではありますが、TikTokは今をときめくSNS。ちょうど下院採決直後の15日には、米国内事業の昨年売上が160億ドル(約2兆4128億円)の史上最高を記録したという発表もありました。投資家にとっては垂涎の的であり、 買収に名乗りをあげる富豪が後を絶ちません。 これまで名前のあがった人はこんなにいます。 ・Kevin O’Leary氏(カナダの投資家) アメリカの人気投資リアリティ番組『Shark Tank』に、Mr. Wonderfulの名前で出演中。Foxニュースに「買収したい米企業を取りまとめたい」と語り、「TikTokは中国共産党にデータをリークしていることはだれでも知っている。売却すべき!」とツイート(「だれでも知っている」というのは氏の言葉で、それを裏付ける証拠が表に出たことは一度もない)。 ・Bobby Kotick氏(ゲーム開発Activision元CEO) ByteDance共同創業者の張一鳴(Zhang Yiming)氏に、買収に関心がある旨を直接伝えたとの報道あり。先日ディナーの席で、OpenAIのサム・アルトマンCEOも巻き込んだ投資家グループで買収してはどうかと発案したとWall Street Journalが伝えています。 ・ラリー・エリソン氏(オラクル共同創業者) トランプ氏を公に支持する数少ないシリコンバレーの企業家。トランプ氏がTikTok米国内事業売却の大統領令を発布した2020年、ウォルマートと組んで買収を試みた実績あり。結局TikTokに訴えられて大統領令は違法との司法判断がくだって見送りになったが、TikTokはこのことが契機でオラクルと提携し、アメリカ人利用者のデータを米国内にあるオラクルのサーバーに置くことで中国脅威論の弱体化を図る「プロジェクト・テキサス」を推進中。同プロジェクトをもってしてもTikTokいじめは鎮火の兆しがないですが、仮に売却強制になった場合、Oracleが譲渡先候補の筆頭にあがると見られています。