めざすは農家所得向上 北海道のJAで子実コーン研究会発足
北海道のJAながぬまで、子実用とうもろこし研究会が発足した。町内では近年栽培面積が広がり、2024年度は300ヘクタールとなる見込み。研究会を通じて技術向上による増収・高品質化や生産者の連携強化を図り、農家所得向上を目指す。 子実用トウモロコシは、子実だけを収穫し、穀物として利用するもの。用途は食品、飼料、工業など多岐にわたり、水田地帯であるJA管内でも水田輪作の新たな作物として、期待が集まる。輸入飼料原料価格が不安定となる中、国産濃厚飼料の生産拡大・安定供給につながる作物として、畜産分野からの関心も高い。 道の空知農業改良普及センターの試算では、子実用トウモロコシの売り上げは10アール当たり収量が800キロの場合、販売代金や水田活用の直接支払交付金などを合わせて約9万円。利益は約4万円となるとした。収量が同1トンの場合はさらに増える見込み。 一方、栽培や収穫に必要となる汎用(はんよう)コンバインや真空播種(はしゅ)機などの機械を新たに所有すると利益を圧迫するため、作業委託体制の検討も必要とした。 JAは、作付け者数と作付面積が増えており、24年度は生産者50戸となると見込む。研究会の発足を起爆剤に、栽培講習会や先進地視察研修などを行い、産地をレベルアップしていく考えだ。 3月中旬には、長沼町のJA本所で「子実用とうもろこし研究会」の設立総会を開いた。35人が出席し、初代会長には組合員の東山哲智さん(46)を選んだ。設立総会前には、道の空知農業改良普及センター空知南西部支所の担当者を招き、講習会を開いた。 担当者は、10アール当たり労働時間が1・1時間と、大豆の同5・5時間や、秋まき小麦の同2・3時間を大幅に下回る省力作物であることなどを説明。限られた労働力で規模拡大ができる点などを強調した。 さらに、有機物である収穫物の残さをすき込むことや、根が地中深くまで張ることで、保水力や保肥力など土壌改良にもつながることを説明。後作の小麦では、生産者が収量向上を実感していることなどを紹介した。 JAの柴田佳夫組合長は「麦・大豆の輪作体系に組み込む作物として期待している。子実用トウモロコシの安定生産が町内に広がり農業者の所得向上につながるよう支援したい」と話した。
日本農業新聞