【Playback箱根駅伝】第82回/亜細亜大が往路6位から大逆転で初制覇!佐藤悠基が区間新デビュー
2024年に箱根駅伝は第100回大会を迎える。記念すべき100回に向けて、これまでの歴史を改めて振り返る『Playback箱根駅伝』を企画。第1回大会から第99回大会まで、大会の様子を刻んでいく。(所属などは当時のもの) 第82回箱根駅伝総合成績をチェック
第82回(2006年/平成18年) 小田原中継所が移動 5区が23.4kmに 1~3区はルーキーが区間賞
今大会より4区と5区をつなぐ小田原中継所が移動となり、4区は21.0kmから18.5kmに短縮、5区が20.9kmから23.4kmへと延長。4区は全区間で唯一20kmに満たない区間となり、5区は最長区間となった。 前回4連覇を達成した駒大が出雲駅伝4位、全日本大学駅伝3位となったことで、優勝争いは混とん。出雲を制した東海大、全日本優勝の日大、両駅伝で2位に入った中大、前回5区で11人抜きを演じた今井正人(3年)を擁する順大らがV候補に挙げられた。 出場校は前回と同じで20校+オープン参加の関東学連選抜。予選会を経て國學院大が3年ぶり、国士大が2年ぶりに本戦へ復帰した一方で、前回出場校では拓大と帝京大が予選会落選となった。 1区はスタート直後に日体大の鷲見知彦(3年)が飛び出し、2位集団との差をどんどん広げていく展開へ。鷲見は17kmまで独走したものの、その後は集団に吸収。終盤は駒大の藤山哲隆(4年)、中大の奥田実(3年)、中央学大の木原真佐人(1年)による三つ巴となり、ルーキー木原が抜け出して区間賞を獲得した。 2区では山梨学大のメクボ・ジョブ・モグス(1年)が怒涛のごぼう抜きを見せた。12位でタスキを受けると、みるみるうちに順位を上げていき、前回3区区間賞のディラング・サイモン(2年)をも抜き去ってトップへ浮上。11人を抜き、区間賞を手にした。黒崎拓克(2年)が区間2位と好走した東洋大が2位につけ、中大が3位。亜細亜大はこの時点でまだ13位と出遅れていた。 3区は“スーパールーキー”として大会前から注目を集めていた東海大の佐藤悠基が箱根デビュー。1995年に小林正幹(早大)が作った従来の区間記録(1時間2分49秒)を37秒も更新し、12位から4位までジャンプアップした。山梨学大がトップを維持し、中大が上野裕一郎(2年)の好走で2位に浮上。日大は福井誠(3年)が15位から9人を抜いて6位に躍り出た。 距離が短くなった4区では中大の小林賢輔(3年)が山梨学大を逆転して首位が交代。山梨学大、東洋大、東海大、駒大と続き、中距離ランナー・村上康則(4年)が区間賞を獲得した順大が6位で通過した。 山上りの5区では、またしてもこの男が快走を演じた。前回区間賞の順大・今井が5人を抜き去り、2年連続の区間賞。順大は17年ぶりの往路優勝を達成した。2位はわずか30秒差で駒大、3位中大、4位山梨学大、5位日大、6位亜細亜大までが先頭から3分以内という激戦となった。 順大は6区の長谷川清勝(4年)が区間6位、7区の小野裕幸(1年)が区間2位と好走し、後続との差を広げていく。逆に2位の駒大は7区で区間17位と失速し、この時点で順大と3分37秒差の4位と後退した。 ところが、8区でまさかのアクシデントが発生した。先頭を行く順大の主将・難波祐樹(4年)が脱水症状を起こして失速。駒大、亜細亜大、山梨学大に抜かれて4位まで順位を落とした。その一方で駒大は堺晃一(2年)が3人を抜いて首位に浮上。史上3校目の5連覇が現実味を帯びていたが、2位に浮上した亜細亜大とは1分12秒差と迫っていた。 そして勝負が決した9区。亜細亜大の山下拓郎(3年)が区間賞の激走で駒大の平野護(2年)を抜き去り、ついに先頭へ。亜細亜大は10区の岡田直寛(3年)も首位の座を守り切り、出場29回目で初の総合優勝を達成。往路6位からの総合優勝は史上初で、優勝候補が次々と脱落していく中で堅実な走りが目立った。 総合2位は山梨学大。3位には前年に続いて日大が入り、8区でアクシデントがあった順大が4位。駒大は10区で5位まで順位を落とした。7位の法大は3年連続のシード権獲得。往路15位から驚異の追い上げを見せ、大学初となる復路優勝を達成した。 シード権争いはこの年も激戦となり、9位の日体大と10位の東洋大がわずか1秒差。11位の城西大は10区の高岡寛典(3年)がチーム初の区間賞となる激走で追い上げたが、わずか10秒届かなかった。 そのほか、城西大の高岡を含む、シード圏外のチームから4人が区間賞に輝き、1区は木原、6区は専大の辰巳陽亮(4年)、8区は中央学大の杉本芳規(4年)がそれぞれ獲得した。 参考文献:箱根駅伝90回記念誌(関東学生連盟)
月陸編集部