藤平さんが日展書の部入選 初出品で快挙 館山(千葉県)
国内最大の総合美術展覧会「日本美術展覧会(日展)」の第五科(書)の部で、館山市の藤平誓志(雅号・雙舟)さん(66)が初入選を果たした。初出品での快挙に「衝撃的なできごと」と喜びをみせた。 日展は、日本画、洋画、彫刻、工芸美術、書の五つの部門からなる総合美術展。世界でも類を見ない規模の公募展で、全国各地の幅広い年齢の応募者があり、厳しい審査を経て選ばれた作品が陳列される。書部門には、8822点の応募があった。 藤平さんは、27歳から書道に取り組み、故川上石舟氏に師事。現在、書星会理事長の宮負丁香氏に指導を受けている。 元館山市職員で入職した当時、さまざまな書類を手書きで行うため「字が下手なのがコンプレックスだった」と、書道師範だった所属課長に硬筆習字を教わったことがきっかけで、結婚した妻も書道師範であったことから、筆に持ち替え本格的に書道を始めた。 入選したのは、行草体で表した李白詩の五言絶句を3行、縦277センチ、横53センチの作品。墨量を多くしながらも、明るく表現するのを意識し、行間の余白を美しく構成した、流れと動きのある書を表した。 審査によると、入選率は約13%で、ここ数年で最も厳しい選出だったという。 入選を受け、藤平さんは「まさか初めての出品で自分が選ばれるとは思っておらず、人生で最大の衝撃」と喜びを表現する。「もっと上手な先輩方はたくさんいる。まだまだ未熟。ひたすら『うまくなりたい』という気持ちで、技術の向上に努めていきたい」と話した。 作品は、国立新美術館(東京・六本木)で、26日まで展示されている。