「中川」は、雨の多い国・日本だからこそ生まれた名字なのです
中川(なかがわ)
「中川」は方位由来の名字です。 川が複数流れていると、真ん中の川を中川と呼びました。東京の中川は、利根川と荒川の間を流れていることから「中川」と呼ばれたものです。 雨の多い日本では、こうした複数の川が流れる場所は各地にあるため、「中川」という名字のルーツも全国各地にあります。 歴史的に最も有名なのは、江戸時代に豊後岡藩(現在の大分県竹田市)の藩主をつとめた中川家でしょう。 中川家は戦国時代には摂津国の茨木城(現在の大阪府茨木市)の城主でした。ルーツの地は摂津国豊島郡中川村(現在の大阪市生野区)で、この付近はかつては沼地でいくつかの川が流れ、その中に「中ノ川」という川があったといいます。 現在は26都道府県で100位以内に入っているなど、全国に広く分布しています。 その中でも最も多いのが第6位の名字となっている滋賀県で、次いで石川県で7位、富山県で8位に入っており、関西から北陸にかけて多い名字となっています。
森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家 1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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