新NISAで【1億円】はさすがに無理?上限1800万円での「積立投資」をシミュレーション
新NISAの非課税適用枠には、総額で1800万円という限度額があります。 ただし、これは投資元本に適用される上限であるため、長期で複利運用していけば1800万円よりも資産総額を大きくすることが可能です。 【図表1】~【図表4】新NISAで「1億円」は可能?シミュレーション結果はこちら 今回のシミュレーションに基づくと、早期に投資枠の限度額1800万円を積立てたうえで、株など相対的にリスクが高い資産で長期運用すれば、資産総額1億円の達成は不可能ではありません。 2024年1月開始まであと半月を切った新NISAについて確認しましょう。 ※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
新NISAのルールをおさらい
積立投資のシミュレーションに入る前に、まず新NISAのルールをおさらいしましょう。 新NISAでは非課税保有の限度額が1800万円に設定されていますが、1年目から1800万円を一括投資することはできません。 年間の投資枠がつみたて投資枠・成長投資枠合わせて360万円と決まっているため、最低でも保有限度額に達するまで5年間を要します。
30年間新NISAで運用した場合の資産総額シミュレーション
利回りや運用期間の条件が同じ場合、積立ペースが早いほど大きな金額の複利効果が働くため最終的な資産総額は大きくなります。 ここからは、積立期間ごとに30年後の資産総額のシミュレーションをしていきます。 なお、積立は毎月おこなうものとし、積立期間は金融庁の「資産運用シミュレーション」を使用し、枠を使い切った後の運用は筆者が試算しました。 この試算は、限度額に達するまで何年かかったかによって結果が変わってきます。 ここでは、限度額1800万円に達するまで5年間(年間360万円投資)、10年間(同180万円投資)、20年間(同90万円投資)の3パターンで試算しました。 ●5年間(年間360万円投資)で上限到達 5年間で限度額に到達するということは、月30万円、年間360万円積み立てていくことになります。 限度額に到達したあと25年間複利運用したとすると、運用利回り(年率。以降も特記ない限りは年率)ごとの30年後の資産総額は【図表1】の通りです。 なお、利回りは積立期間中も、限度額に達した後も同一とします。 年率7%~で運用できれば、30年後までに資産総額1億円に到達します。 1990年1月~2023年11月の米国株指数S&P500の年率リターンが約8%あったことをふまえると、30年間で年率リターン7%というは達成不可能な水準ではありません。 ただし、相対的にリスクの高い海外株式などへ積極的に投資する必要があります。 ●10年間(年間180万円投資)で限度額到達 10年間かけて1800万円に達するということは、年間180万円、月15万円ずつ積立投資する計算です。 このときの、運用利回り別の資産総額は【図表2】の通りです。 このときも、年率7%以上で運用できれば、1億円に到達可能であることがわかります。 ●20年間(年間90万円投資)で限度額到達 20年間で限度額に到達するということは、年間90万円、月あたり7万5000円積立投資することになります。 この時の、運用利回り別の30年後の資産総額は【図表3】の通りです。 1800万円に到達するのが遅いと、その分最終的な資産額も小さくなります。 年間90万円の積立ペースで30年後に1億円を達成するためには、年率9%程度を目指す必要があります。 過去およそ30年の米国株式以上のペースでリターンを出さなければならないことをふまえると、この運用成績を達成するのは容易ではないでしょう。 ●新NISAの限度額を気にせず積立を続けた場合は? 新NISAの限度額に到達した後も課税口座を活用して積立投資を継続したほうが、資産総額1億円を達成できる可能性は高くなります。 30年間にわたって積立投資を継続する場合、想定される運用利回りごとの必要積立額は【図表4】の通りです。 1月あたり12万円程度を30年間積み立てられるなら、目標利回りが5%程度でも資産総額1億円を達成可能です。