『Rise of the Ronin』には“こんぴら犬”が登場!江戸時代の風習をもとにした派遣システムで、ほかのプレイヤーが派遣した犬と交流するほっこりしたひと時も楽しめる
ソニー・インタラクティブエンタテインメントより3月22日に発売となる、PS5用ソフト『Rise of the Ronin』。『デッド オア アライブ』シリーズや『仁王』などの開発で知られるコーエーテクモゲームスのTeam NINJAの最新作としても注目を集めるオープンワールドRPGだ。 【この記事に関連するほかの画像を見る】 本作の舞台となるのは、政情不安や黒船来航によって混迷を極めた幕末期。プレイヤーはひとりの名もなき“浪人”として歴史上の重要人物たちと縁を結びながら己の運命を切り開いていくことになる。 発売前週となる3月17日(日)には、東京タワーメディアセンターにて完成披露イベントが開催。ステージにはTeam NINJAの開発スタッフも登壇し、生のゲームプレイを交えつつ、作品の注目ポイントをアピールした。今回はその模様をお届けしよう。 文・取材/原 常樹 ■コンセプトは「Team NINJAでしか体験できないオープンワールドの提供」 まず今回のイベントでは、2時間の試遊が体験できる“プレミアム体験会”も同時に開催された。もちろん、イベント内の限られた時間で本作を遊び尽くすことはできないが、作品の魅力の一端を先取りで味わえる貴重な機会に。とりわけ本作は、戦闘重視のオープンワールドアクションRPGを謳っているだけに、自由度の高い戦闘を生で体感できるというのはファンにとってもうれしかったはず。 筆者も当選者のプレイを2時間見学させてもらったのだが、戦闘の歯応えはまさに筋金入りという感じで、最序盤のミッションでもいきなり苦戦するプレイヤーが続出。なかには1時間近くトライ&エラーを続けていたプレイヤーもいたあたり、さすが“死にゲー”として名高い『仁王』の制作チームならではの骨太さといえる。 一方、難易度は複数段階で調整できるということなので、あまりアクションゲームが得意でないという方も自分にあった難易度でプレイすれば快適に本作の世界を楽しめるだろう。 本作はオープンワールドゆえに探索要素も豊富。体験会でも、遊郭を天井裏までくまなく捜索するプレイヤーもいれば、さまざまな武器のアクションを試すプレイヤーや、ミニゲームの流鏑馬【※】に熱中するプレイヤーもいるなど、それぞれが思い思いに幕末の世界観に没頭していた印象だ。 最初のプレミアム体験会が終わったところで、いよいよステージイベント。フリーアナウンサーの山口慧さんの呼び込みで、同作のプロデューサーを務める早矢仕洋介氏、開発プロデューサー兼ゲームディレクターを務める安田文彦氏が登壇した。 Team NINJAのタイトルの中でも「開発期間がもっとも長かった」だけに、発売が目前ということに実感が湧かないという早矢仕氏。安田氏もこの日の体験会や京都のイベント【※】を通じ、ようやくそういった実感を覚えたとのこと。 なお、どちらのイベントでも『Rise of the Ronin』を遊んでいたユーザーたちは開発チームの予想以上に猛者が多かったようで「Team NINJAのタイトルで鍛えられてしまったのか、ただ者ではない人たちがいらっしゃいました……」と安田氏も驚きつつ、ガッツリ遊んでくれたことに対して嬉しそうな様子を見せた。 このタイミングで完全新作オープンワールドRPGを作った経緯については、2015年ぐらいにはTeam NINJAの将来を見据えて「こういうゲームを作りたいよね」というビジョンがあったそう。それがほとんどそのまま現在の『Rise of the Ronin』だったと早矢仕氏は語る。実際に開発がスタートしたのは、『仁王』の開発が終了してからということだが、かなり長期間温められていた企画だったようだ。 作品のコンセプトになっていたのは、Team NINJAでしか体験できないオープンワールドの提供だとふたりは口を揃える。なかでも『仁王』などでも評価の高かった爽快感ある操作性には特に注力したという。PS5というプラットフォームでの提供に関しては、ソニー・インタラクティブエンタテインメントと密に連携を取りつつ、コントローラーの振動などの没入感を深めるギミックについてアドバイスをもらいながら開発を進めたと安田氏は語る。 もうひとつの柱になっているのが、歴史の要素とアクションの要素を組み合わせたこと。早矢仕氏は、幕末で活躍した歴史上の人物と絆を深めながら物語を進めていくという本作の構造について改めて紹介。討幕派の佐幕派、さらには海外勢力のキャラクターが物語を動かしていくので複雑そうにも感じるが、「幕末にあまり詳しくなくても、ゲームのなかで人物紹介もされているので大丈夫です。このゲームから幕末を好きになる方もいらっしゃるのでは」(早矢仕氏)と胸を張っていた。 なお、プレイヤーは人物のみならず、土地とも縁を深められるとのこと。また、本作はプレイヤーの選択によって物語が分岐するマルチエンディング方式を採用しているという。 作品の特徴である戦闘要素については、幕末という背景を取り入れつつ、これまでTeam NINJAの作品では珍しかった銃剣や短銃などが登場。武器の流派もかなり豊富で、鍵縄や滑空装備を使った移動アクションにもこだわっているそうだ。 イベント会場やWebサイトには質問を募る目安箱が設けられており、壇上の早矢仕氏と安田氏がそれに応えるというひと幕も。次項では、そのやりとりを凝縮してお届けしよう。 ■30人以上のキャラクターを切り替えながら操作可能 ──本作をオープンワールドにした理由をお聞かせください。 早矢仕洋介氏(以下、早矢仕氏) : 自分がその時代を生きているような体験をしていただきたいと。TeamNINJAらしいオープンワールドを作ることが我々の一番チャレンジしたかったことであり、お客様にも体験してほしかったことなので。 ──主人公をふたりにしたきっかけは何だったのでしょうか。また、ふたりにしたことで生まれた開発の難しさなどがありましたらお聞かせください。 安田文彦氏(以下、安田氏): 多種多様な勢力・思想のキャラクターと因縁を築いていくのをコンセプトにするなかで、主人公ともっとも深い縁を結ぶ相手に、“隠し刀”としていっしょに育ってきたパートナーを持ってきたいというのがありました。親とも兄弟とも恋人のどれとも違うし、どれとも近いような因縁の深さを感じていただけたら。 ふたりでひと組、切り替えながら遊べるようにするのは苦戦したものの、うまくできました。ちなみに作中で切り替えることで30人以上のキャラクターを操作できるのでそこも楽しんでください。最初に提案したときはチームメンバーに嫌がられましたけど(笑)。 早矢仕氏: まさか、全キャラクターを操作できるようにすることになるとは思いませんでした。 ──本作に高難度の周回要素はありますか? 安田氏: あります! オープンワールドですが、最初からやり直す必要はなく、ストーリーのリトライを気軽にできるような機能も用意しています。一度目のプレイで選ばなかった選択肢を選んでもいいですし、オンラインでのマルチプレイもできますので、エンドコンテンツとして遊んでほしいです。 ──安田さんの飼われている柄のネコさんたちは出られますか? 安田氏: 作中に猫探しの要素があり、そこで出ます。気性が荒いネコかもしれませんが、見つけたら斬りかからないであげてください(笑)。 ■江戸時代の風習をもとにした“こんぴら犬”がかわいい ステージイベントのクライマックスでは、Team NINJAのなかでももっとも手練れだというディレクター・隈部宣道氏による実機のデモプレイも行なわれた。 まずは、キャラクタークリエイトや江戸時代の風習をもとにした派遣システム“こんぴら犬”の紹介。Team NINJAの作品には猫が多く登場する一方で、犬が活躍する機会が少なかったため、満を持して採用されたのが“こんぴら犬”とのこと。ほかのプレイヤーの派遣した犬との交流も楽しめるようで、その愛らしさに会場もほっこりする。 デモプレイでは、作品の舞台となる横浜や江戸の紹介も。この日のイベント会場から目と鼻の先にある増上寺もしっかりゲーム内に登場しているようで、オープンワールドにしっかり落とし込まれていることが確認できた。ほかにも、浅草寺や吾妻橋など東京の名所が幕末当時の形で形作られているので、歴史好きなユーザーであれば風景を眺めるだけでも満足できそうだ。 筆者は取材の帰りがけに増上寺の前を通ったので、せっかくなので画像も見比べてみた。『Rise of the Ronin』に登場する増上寺はサイズこそ凝縮されているものの、増上寺の表の顔である三解脱門や奥にある大殿のきめ細やかな再現・構築はお見事。Team NINJAのこだわりを感じた。 デモプレイのラストでは、隈部氏に対して「ハードモードの一発勝負で勝海舟を倒せ!」という特別ミッションが。隈部氏をもってしてもリハーサルでの勝率は5割という非常にシビアなお題だったそう……。 パートナーである坂本龍馬とともに水面に浮かぶ屋形船を足場にしながら最奥にいる勝海舟のもとを目指すという内容だったが、そもそも道中の屋形船で敵の集中砲火を受けるという厳しい状況に。「まさか勝海舟に会う前にやられてしまうのでは……?」と会場はざわめくが、気合いで持ち直した隈部氏はどうにか勝海舟のもとへとたどり着く。 勝海舟のセリフが終わるまえに斬りかかるなど、本気モードの隈部氏。攻防一体のアクション“石火”(敵の攻撃を捌く、いわゆるパリィのようなアクション)を駆使することで強烈な攻撃を受け流しつつ、勝海舟の体力と気力をじわじわと削る。坂本龍馬と操作を切り替えるなど、本作ならではの要素を織り交ぜつつも隈部氏は見事に勝海舟を下してみせた。 さすがに道中での苦戦は焦ったとのことで、早矢仕氏や安田氏も「ここで失敗したら(会場にいる)皆さんとの縁に傷がつくんじゃないかと思った」と肝を冷やしたそう。だが、苦戦したことで、逆に本作ならではの奥の深い戦闘要素を存分にアピールできたようにも感じる。 こうして、『Rise of the Ronin』完成披露イベントは無事に終了。参加したユーザーにとっても作品に対する期待値がさらに高まるようなプレミアムなひとときだったことだろう。『Rise of the Ronin』はPS5向けに3月22日いよいよ発売。Team NINJAの本気が詰まったオープンワールドRPGを、ぜひチェックしてみてはいかがだろうか。
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