インドネシア バリ島のごみ問題解決へ 富山の企業がリサイクル施設を竣工
世界有数のリゾート地として知られる、インドネシアのバリ島では今急増する「ゴミ」の処理が追いつかず社会問題となっています。 そこで富山市の企業がその解決に乗り出しました。 ゴミをリサイクルする富山発の技術に期待が高まる現地を取材しました。富山からおよそ5500キロ。 インドネシア中南部に位置する世界有数のリゾート地バリ島。 年間500万人が訪れる観光都市です。 プロジェクトの舞台はクタやチャングーなど人気の観光地があるバドゥン県です。 *リポート 「コロナ禍以降、観光客数が最大に回復したバリ島。観光を起爆剤に経済が発展を続ける活力を感じます。現地ではいま、急増する『生ごみ』の処理が、大きな課題となっています。」 宿泊施設や市場で栄えるバドゥン県。 1日に発生するゴミはおよそ600トン。 処理はほとんどを埋め立てに頼っていますが、すでに処分場の収容能力が限界に達しています。 処分場ではゴミが長時間放置され、生ごみが腐敗して悪臭や温室効果ガスのメタンガスを放出するなど衛生や地球環境にもかかわる社会問題となっています。 その解決に乗り出しのが富山市の廃棄物処理会社「石橋」です。 先月、プロジェクトチームが最終点検のため現地を訪れました。 プロジェクトは生ごみリサイクル施設を建設しようといもの。 ことし4月から建設を進めていた設備です。 この設備は投入された生ごみを発酵させて堆肥に変える機械で、ごみの発酵が均等になるよう攪拌を自動で行う最新鋭のマシーンです。 生ごみ処理の課題となっていた排水や臭いも抑え、処理能力は1日で最大50トンです。 *石橋 石橋隆二代表 「発酵させて水分を飛ばして、腐らない状態にしていく」 このプロジェクトは、富山市が8年前から進める国際貢献事業の一環として進められ、設備は、国際協力機構JICAなどの支援を受けて設置されました。 今後は、2年間かけて効果をモニタリングしながら、現地のスタッフに運用技術を引き継ぎます。 *今後のオペレーションを担当 マユーンさん 「方法はほとんど覚えました。操作は難しくありません。現地で続くごみ問題の新たな解決策になればと期待しています」 そして先月22日、竣工式にはインドネシア政府やバリ州、富山市の関係者など350人以上が参加し、完成を盛大に祝いました。 *バドゥン県環境局 プジャ局長 「経済発展に伴うごみの増加が県の収容キャパシティを上回ろうとしています。私たちにはごみを再利用する場所がありませんでした。生ごみが堆肥に生まれ変わることを実証し、次の世代に引き継ぎましょう」 稼働を開始し、スクリューの回転が始まると会場からは大きな歓声が上がりました。 このマシーンには主にレストランやホテルで回収された生ごみが搬入されていてバドゥン県では今後、家庭から回収するごみの搬入を目指しています。 ゴミの「リサイクル」を広めるため今後はゴミの分別などゴミ回収事業の整備を進めたいとしています。 *バドゥン県環境局 プジャ局長 「最終処分場は満タンになり、ゴミを運び入れることができなくなりました。日本の新たな処理技術を活かした問題解決を期待しています。(RA-Xの設置が)住民にごみを分別してもらう、教育のきっかけにもなればと考えています。」 *石橋 石橋隆二代表 「最初にバリに来たのは8年前。やっときょうを迎えられた。富山市の廃棄物処理はしっかりした体制だが、できていない所に考え方や技術を伝えることが国際貢献。きょうはスタート」 東南アジアには、リサイクル技術が浸透していないという地域も多く、現地には既に各国から視察が相次いでいるということです。 6日は限界に達した埋め立て処分場の現状と今後の打開策についてお伝えします。
富山テレビ放送