“天才タマゴ”トヨタ「エスティマ」3代目が266.7万円~登場! が高級ミニバン人気から終焉へ【今日は何の日?1月16日】
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日1月16日は、タマゴ型の流麗なスタイリングで大ヒットしたトヨタのミニバン「エスティマ」の3代目が誕生した日だ。ブラッシュアップして登場した3代目だったが、その後3回のマイナーチェンジで商品力強化を図るも生産を終えた。 TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・新型エスティマのすべて トヨタ3代目エスティマを詳しく見る ■エスティマとしては最終モデルとなった3代目 2006(平成18)年1月16日、1990年に“天才タマゴ”のキャッチコピーとともに誕生して大ヒットしたトヨタ「エスティマ」の3代目がデビューした。ブラッシュアップして登場した3代目だが、その後アルファード/ヴェルファイアの大ヒットに押されて徐々に人気が下降、結局3代目が最終モデルとなった。 “天才タマゴ”のキャッチコピーで登場した初代エスティマ 1990年、それまでのミニバンとは異なる新世代ミニバンのエスティマが、“天才タマゴ”のキャッチコピーとともに誕生した。全体を曲面で構成したワンモーションのまさにタマゴのような流麗なフォルムと、広い3列シートおよびラウンディッシュなコクピットを配した近未来的なインテリアが大きな注目を集めた。 その斬新なスタイリングを実現したのは、独創的なパワートレインのレイアウトだ。従来のミニバンは、前輪の前にエンジンを搭載するのが一般的だったが、エスティマはセカンドシート下部の床下に最高出力135ps/最大トルク21.0kgmを発揮する2.4L直4エンジンを傾斜させて搭載するというミッドシップレイアウトを採用したのだ。駆動方式は、ミッドシップの後輪駆動とVCU(ビスカスカップリング)付フルタイム4WDが設定された。 エスティマは、販売開始とともに、アウトドア派だけでなく一般のファミリー層からも人気を獲得し、大ヒットを記録した。 2代目はミッドシップからFFレイアウトに変更 2000年に初めてのモデルチェンジでエスティマは2代目に移行した。そのスタイリングは、初代の丸みを帯びたタマゴ型のイメージよりもシャープな印象に変わった。 初代は、エンジン搭載位置を床下に搭載したミッドシップレイアウトで注目されたが、2代目はエンジンを一般的なフロントへ移動してFFレイアウトに変更。レイアウト変更は、初代の床下ミッドシップでは搭載できるエンジンに制約があり、パワフルなエンジンを搭載できなかったためである。 この制約がなくなったことで、2代目エスティマには220ps/31.0kgmの3.0L V6 DOHC VVT-iエンジンを搭載。4気筒エンジンも一新し、160ps/22.5kgmの2.4L直4 DOHC VVT-iとなった。駆動方式はFFとフルタイム4WDの2種が用意された。 また2001年6月にはミニバンとしては世界初の「エスティマハイブリッド」を追加。E-Fourと呼ばれるシステムで、前輪をモーターとエンジンのハイブリッドで駆動し、必要に応じて後輪をモーターで駆動する電動4WD機構である。 高級ミニバンブームとともに生産を終えたエスティマ 2006年1月のこの日に登場した3代目エスティマ。基本的には正常進化だが、トヨタのミニバンとしては初のツートーンルーフや涙目風のヘッドライトの採用などによって精悍な印象となった。 室内のシートアレンジとして特徴的なのは、3列目シートを床下収納式に変更。7名乗りの場合には、3列目シートを収納して800mm移動可能な2列目をスライドさせて、広い足元スペースが得られるようになった。 エンジンは、新開発の280ps/35.1kgmを発揮する3.5L V6 DOHCエンジンと、170ps/22.8kgm に出力を向上した2.4L直4 DOHCエンジンを搭載。トランスミッションは3.5L車が6速AT、2.4L車が7速Super CVT-i。駆動方式はFFとフルタイム4WDである。 2006年6月に2代目同様ハイブリッドモデルを追加。搭載システムは、2代目のTHS-CからTHS IIに変更され、エンジンとモーターをパワーアップすることで動力性能と燃費が改善された。 その後、2008年、2012年、2016年と3回のマイナーチェンジを実施。2008年は、主に高級感を強調したデザインを採用、2012年にはフロントグリル・バンパー、ヘッドライト、リアコンビランプなど意匠を変更。2016年は、V6エンジンを廃止、自動ブレーキを含む先進安全装備”トヨタ・セーフティC”をエスティマとして初採用した。 以上のようにフルモデルチェンジせず、マイナーチェンジで商品力強化を図った。しかし、1997年に日産「エルグランド」、2002年に自社の「アルファード」が登場して高級ミニバン人気が加熱したことから、エスティマの人気は徐々に右肩下がりになってしまった。 最終的には、初代から30年続いたエスティマは、その役目を終えて2019年に生産を終えた。 ・・・・・・・・・ 3代目エスティマのデビュー当時は、月販6000台以上を販売して好調を維持していたが、以降フルモデルチェンジせず、マイナーチェンジ3回で13年も売り続けた。この頃、市場の要求は高級ミニバンになったとトヨタは判断して、フルモデルチェンジに踏み切らなかったのだろう。 毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。
竹村 純