フィギュアスケートの驚異のジュニア、島田麻央 シニアの全日本選手権で初優勝なるか
【ベテラン記者コラム】フィギュアスケート女子で16歳になったばかりの島田麻央がジュニア選手ながら全日本選手権初優勝を視界にとらえている。 島田といえば、トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)と4回転トーループの大技を持ち、この原稿執筆時点で、全日本ジュニア選手権3連覇、ジュニア・グランプリ(GP)ファイナル2連覇、世界ジュニア選手権2連覇と、ロシア選手が国際大会から除外されている現在、ジュニア世代では敵なしの状況だ。 今季もジュニアGPは2戦2勝で、総合ポイント上位6人で争うファイナル進出を決めた。とくに第5戦ポーランド大会ではフリー151・57点、合計224・68点をマークしており、これはシニア選手を含めても今季世界最高得点! シニアの世界女王・坂本花織が優勝したGP第2戦スケートカナダでの合計得点はミスも多かったこともあり201・21点にとどまっている。 島田は4連覇がかかる全日本ジュニア選手権(11月15-17日、広島)、3連覇がかかるジュニアGPファイナル(12月6-8日、フランス・グルノーブル)を経て、推薦枠で出場する全日本選手権(12月20-22日、大阪)に向かう予定だ。同じく推薦枠で出場した全日本選手権で、2022年、23年と2年連続で3位に入って表彰台に上がっており、さらなるステップアップが期待されている。 シニアの大会だとフリーの演技時間がジュニアより30秒長くなるため、プログラムの構成を変えなければならないが、先の取材会で島田は「SPにトリプルアクセルを入れたいし、フリーではステップシークエンスが入るので、そのプログラムで滑るのが楽しみ」と意欲的で、「ジュニアだけど結果を残したい。全日本で優勝したい思いはあるけど、あまり意識せずに思い切りやりたい」と大きな目標を掲げていた。 全日本選手権3連覇中の坂本の自己ベストは2022年世界選手権でマークした世界歴代6位の236・09点。島田より10点近く高いが、シニア用のプログラムにするとSPのジャンプやフリーのステップで使えるエレメンツ(要素)に違いがあるため島田の得点要素が増え、実におもしろい戦いになりそう。「去年はショート(SP)でミスが出てしまったので、今シーズンはノーミスで滑り切ることが目標」と話す島田の演技が楽しみだ。 なにしろ、2年前のルール改正でシニアの年齢が引き上げられたため、島田の国際大会でのシニアデビューは次回冬季五輪の翌シーズンである2026-27年シーズンからと、ずいぶん先になるので…。(牧慈)