全国75%の橋が築50年超...老朽化するインフラ、予算のない自治体では事務員が道路舗装【WBS】
1960年代の高度経済成長期に道路やトンネルなど、多くのインフラがこの時代に整備されました。そして今、課題になっているのが、そのインフラの老朽化です。例えば橋の場合、2040年には全体の75%が建設から50年を超えるとされています。老朽化したインフラを整備する自治体を支援しようと、企業連合による新たな取り組みが動き出しました。 鉄道会社やメガバンクの経営幹部らが一堂に会した記者会見。そこで発表されたのは大手6社の企業連合が立ち上げた「JCLaaS(ジェイクラース)」。老朽化した橋や道路といったインフラの整備事業を全国で始めます。JR西日本とNTTコミュニケーションズが技術面で、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、日本政策投資銀行が資金面で自治体のインフラ整備を支援する仕組みで、2030年までに100件の受注を目指します。 JR西日本の野々村一志執行役員は「インフラのメンテナンスを維持するにも莫大な費用がかかる。今のまま続けても負担の方が大きくなる世の中になってしまう。転換させるべく手を打つ必要がある」と話します。
茨城県の西部に位置する桜川市。ここも老朽化したインフラを抱える自治体の一つです。道路や橋などの管理を担う市の建設課では、職員が事務作業に追われていました。 「いま、電話があり、陥没があったようで早急に補修が必要になりました」(職員) 「わかりました。岩瀬班の方は今すぐ出られるよね。準備して直しに行く感じでお願い」(桜川市建設課の仁平寿洋課長補佐) 市民から道路の陥没があるという電話があり、職員たちがヘルメットを手に取り、外に出ます。カラーコーンや大きな機材をトラックの荷台に積み込んで、市役所を出発。車で走ることおよそ10分、市民から連絡があった場所に到着しました。 道路には穴が開き、ボコボコになっています。すると建設課の仁平さんは早速道路の舗装工事に取りかかりました。アスファルトを敷き固めていきます。しかしなぜ先ほどまで事務作業をしていた仁平さんが自ら舗装工事を行うのでしょうか? 「ちょっと人手が足りないのと、予算的に厳しいものがあって」(仁平さん) 市内の至るところで道路の老朽化が進む桜川市。しかし予算不足のため、専門の業者に工事を発注せずに、こうして市の職員が自分たちの手で補修を続けています。今回も業者に発注すると数十万円かかる工事がおよそ1万円ほどの出費で済みました。 さらにこんな問題もあります。 「みんな役所に事務職で入ってきた人だけで、技術職はいない」(仁平さん) 建設課に技術系の職員がいないのです。職員は7人全員が土木系の専門知識がない事務職。日々手探り状態で、道路の補修作業などを続けているのだといいます。 「われわれのような小さな自治体だと、コストをかけて補修ができないので、自治体だけで道路維持していくのはなかなか難しい」(仁平さん)